「GKの視野にないところで…」 技ありハットの横浜FMウーゴ・ヴィエイラ、得点ランク首位でも浮かない表情
ゲキサカ / 2018年4月21日 20時35分
[4.21 J1第9節 横浜FM 4-4 湘南 日産ス]
両軍4ゴールずつの大乱戦が繰り広げられる中、最も輝いたのは“トリコロールのエース”だった。前半のうちにシュート3本でハットトリックを記録した横浜F・マリノスFWウーゴ・ヴィエイラは、今季の通算ゴール数を『7』に積み上げ、得点ランキング単独トップに躍り出た。
チームにとって今季リーグ戦初の複数得点は、見事なシュートセンスでたぐり寄せた。1点ビハインドで迎えた前半27分、右サイドを突破したFWオリヴィエ・ブマルからのパスを受けると、PA際で相対するDFを抜き切らないまま右足シュート。股下を通してゴール左隅を撃ち抜き、貴重な同点弾を奪った。
その後、湘南に2点を追加されたものの、前半44分にたった“二振り”で試合を振り出しに戻す。時計が43分3秒を指したあたり、FWユン・イルロクのパスから右足で流し込むと、相手キックオフを経たわずか55秒後、DF山中亮輔のクロスから狙い澄ましたトゥーキックを披露。これもゴール右隅に吸い込まれ、前半のうちにハットトリックを記録した。
全てのゴールが相手ディフェンスをブラインドに利用する技ありショット。古巣対戦となったGK秋元陽太は「終わった後に話し合ったけど、もっとDFが寄せ切るか、自分がポジションを調整するかしないといけなかった」と反省を口にし、決めたヴィエイラは「抜いたらGKからボールが見えるので、視野にないところで打った。反応できていなかったので良いゴールだったと思う」と胸を張った。
これで首位独走中の広島FWパトリックを一気に抜き去り、得点ランキングで単独トップとなり、「トップに立てたことは良かった」と述べたヴィエイラ。だが、その表情は浮かなかった。「悔しい気持ちでいっぱい」と話す29歳が見つめるのは、4-4のドローという結果。試合後には「何てことだ。4点も取って勝てないなんて」と、呆然と宙を見上げていた。
DF中澤佑二は試合後、「3点も取ってもらったのに勝てず、ウーゴに申し訳ない」と言い残し、足早に取材エリアを後にした。「得点ランキングのトップより、Jリーグのトップに立ったほうがうれしい。いまは点が取れても勝てない試合が多いから」(ヴィエイラ)。ここまで誰よりも多くゴールネットを揺らしている背番号7は、チームの上位浮上を誰よりも望んでいる。
(取材・文 竹内達也)
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