ミスを素直に認める。川島永嗣の強さの源
ゲキサカ / 2018年6月25日 7時30分
全身を貫く悔しさをこらえ、GK川島永嗣は必死に前を見据えた。第2戦のセネガル代表戦は2-2のドロー。FIFAランクで圧倒的に格上のポーランド代表(8位)に快勝した勢いあるセネガル(27位)から勝ち点1を積み重ねても、川島の表情が崩れることはなかった。
「序盤の自分のミスから、かなりチームが厳しい状況になってしまった。最後まであきらめずに引き分けに持ってこられたのはよかった。失点シーンですか? 完全に自分のミスです。厳しい状況の中でもこういう結果につながったので、チームメートに感謝したい」
自ら「ミス」と言い切ったのは前半11分、先制ゴールを許した場面だ。ペナルティエリア内でMF原口元気のヘディングによるクリアボールが短く、相手のユスフ・サバリの足元に。右足シュートを、川島は一度は阻止。しかし一瞬、慌てた川島はパンチングが短かった。そこにすかさずつめていたFWサディオ・マネに押し込まれた。冷静な川島であれば、大きくはね返すパンチングで難なくピンチを乗り切れたはずだった。
この「ミス」を引きづらなかった。前半34分にFW乾貴士の同点弾が生まれた直後の同39分。いきなりピンチが訪れた。アルフレッド・エンディアイェによる浮き球スルーパスで、ムベイェ・ニアンが、並走していたDF吉田麻也より半歩前に出てすかさず左足シュート。シュートを打たれる直前、川島は1対1となる絶体絶命のピンチに陥ったが、前に出ながらシュートを阻止し、追加点を許さなかった。もしこの1点が入っていたら、日本は勝ち点を積み重ねることはできなかった。
GKの場合、1つのミスが失点につながり、自分の立場まで揺るがす。それでも川島は、素直にミスを認め、頭を下げた。それは川島がこれまで、目の肥えた欧州のメディアやファンの厳しい批判を乗り越えてきた自信によるものだ。2010年7月にベルギー・リールスに渡ってから欧州でプレーを続ける川島は、英語、イタリア語を含めて5か国語を操れる。堀江貴文氏がサッカー関係者との対談をまとめた『なぜ君たちは一流のサッカー人からビジネスを学ばないの?』(ワニブックス刊)の中で、川島はこう明かしている。
〈正直、ヨーロッパでは気持ち的に繊細過ぎるとやっていけないところもありますからね。(中略)練習試合であろうがなんだろうが、ミスに対して「早くここから出ていけ」とか…言葉がわかるからそういう罵声も全部感じられちゃうんですよね(笑)。試合中に、わざと違うキーパーの名前を呼ばれたこともあるし、車だって壊されたこともあります〉
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