「ビハインドの状況を望んでいた」。ブラサカ日本代表のエース川村が逆境を楽しめた理由
ゲキサカ / 2018年10月21日 8時0分
[10.20 ブラサカ東日本4節 Avanzare つくば 1-1 free bird mejirodai 筑波大学]
リードされても焦りはなかった。前半2分に先制を許して追いかける展開にも、Avanzare つくばの川村は必ず追いつける、と信じていた。後半11分に自らの右足弾でようやく同点に追いついた展開にも、川村はどこか涼しい顔だった。
「ギリギリの試合でしたけど、こうなることをシーズン前から望んでいました。先に点をとられて相手が引いてきたときに、どう点をとるか。早い段階でとられたことで、やはり集中力がいつもにも増してあがりましたし、こういう状況の中で戦うことで僕だけでなくみんなの個人のレベルを上げていきたいんです」
所属するAvanzare つくばは、7月の「第17回 アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権」で9度目の優勝を飾った強豪。川村と日本代表の守備の要・佐々木ロベルト泉の絶妙なコンビネーションが強さを支えていた。しかしこのリーグ戦は13、14日の日本代表合宿にも参加していた同僚の増田周平や山川聖立(Vivanzarつくば)といった代表候補選手も含めて個々のレベルをあげる目的で、Avanzare つくばとVivanzarつくばの2チームを結成。佐々木とも別のチームで出場している。
「この逆境はあえて作っています。今まで相手チームに先に点をとられることがあまりなかったので、その状況に慣れていないんです。お互いが、お互いいない中でどうやってチームを勝利に導けるか。そうやって(佐々木に)頼らずに、むしろ『中心になって引っ張っていくんだ』という状況で、個々が成長出来たらいいなと思っています」
先週の日本代表合宿ではコーチと話し込む姿が何度も見られた
普段から逆境に身を置き、それを楽しめるマインドを作る。視線の先には日本代表でのさらなる飛躍、チームのレベルアップもあるはずだ。11月4日に対戦を控えるアルゼンチン代表とは8月の南米遠征で敵国で対戦し、史上初めて0-0の引き分けに持ち込んだ。しかし、川村は表面上に現れている数字以上に危機感を感じている。
「引き分けでしたけど、結果以上に内容が非常に厳しかった。みんなでカバーしないと難しい試合になる。チャンスは少ないかもしれませんが、1つのチャンスに集中してシュートを打ち切ってまずは点を取りたいです」
世界ランク2位のアルゼンチン代表とは過去4度の対戦で1度もゴールを奪ったことがない。あえて厳しい環境を設定した川村は、アルゼンチンからゴールを奪い、新たな歴史を作るイメージを今、この瞬間も描き続けている。
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