大谷室蘭は無念の準Vも、後輩たちに示した堅守と「諦めない姿勢」
ゲキサカ / 2018年10月22日 0時21分
[10.21 選手権北海道予選決勝 北海道大谷室蘭高 1-2 旭川実高 札幌厚別競技場]
試合後、挨拶に来た北海道大谷室蘭高の選手たちをスタンドの応援団は温かい拍手で迎え、最後まで戦い抜いた彼らの背中へ向けて讃える声、感謝の声を送っていた。
結果は2年連続の準優勝。名門・北海道大谷室蘭は31回目の全国大会出場を勝ち取ることができなかった。だが、勝者・旭川実高の富居徹雄監督が「どのチームよりも崩しづらかった」と讃え、その選手たちが「堅かった」と認めたように、大谷室蘭は強固な守備で王者を苦しめた。
この日は5バックを採用。スペースを消し、入ってくるボールは各選手がしっかりとヘディングで跳ね返していく。特にゴール前でミスを犯さなかったこと、またエースFW村上悠緋(3年)を中心とした鋭いカウンターが旭川実を苦しめる要因に。そして前半25分、村上のミドルシュートで獲得した右CKをMF引間大聖主将(3年)が蹴り込むと、こぼれ球をMF窪之内新太(3年)が右足でゴールへ蹴り込んだ。
我慢強い戦いから奪い取った先制点。スタンドが大いに沸いた。その後も集中した守りを見せていた大谷室蘭だが、前半終了間際。SBの背後を突かれて与えたCKから同点に追いつかれてしまう。それでも、大谷室蘭は一つの塊となって旭川実の猛攻の前に立ちはだかった。
後半10分にはいずれもゴール前での連続シュートをDF陣がブロック。17分はゴール前での3連続シュートも弾き返した。まさに執念と言えるような守備。だが、「個人個人しっかりしていて、一人ひとりが上手かった。チームで戦うことを一つにやっていたんですけれども、個人のところで旭実の方が上だったと思います」(引間)という相手に直後のCKから勝ち越された大谷室蘭は必死の反撃も及ばず、1-2で敗れた。
プリンスリーグ北海道最下位からの逆襲。インターハイ予選優勝校の札幌大谷高やプリンスリーグ勢の帯広北高や札幌創成高を破っての決勝進出だった。引間は「少しは諦めない姿勢とかを後輩に見せることができたんじゃないかと思います」とコメント。その姿勢を全員が持って戦ったからこその準優勝だった。
引間はPK戦にもつれ込んだ4年前の決勝(対旭川実高)で活躍し、チームを全国へ導いた兄・雄大さんに続く全国出場を果たすことができなかったが、「諦めない気持ちというのがみんなの中で一つになって、チーム全体に広がっていってみんなに伝わっていった。自分以外のみんなが責任感をもってやっていた」と仲間たちに感謝していた。その背中をピッチ、スタンドから見た後輩たちが来年、必ず雪辱Vを果たす。
(取材・文 吉田太郎)●【特設】高校選手権2018
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