「浮いているくらい」までに声発し、全国求める司令塔。帝京MF三浦が決勝ヘッド:東京B
ゲキサカ / 2018年10月30日 17時14分
[10.28 選手権東京都Bブロック予選準々決勝 堀越高 1-2 帝京高 実践学園高尾G]
何としても全国へ――。そのためならば何でもやる心構えでいる。名門・帝京高の注目司令塔・MF三浦颯太(3年)はこの日、異質な空気感を放っていた。ボランチの位置からドリブルでPAへの侵入を狙い、決定的なラストパス。それ以上に目立っていたのが、自分勝手なプレーを許さない姿勢だった。
サイドを突破した味方が中央でフリーの選手がいるにもかかわらず、角度のない位置からシュートを放った際には強烈なダメ出し。ほかにも普段からチームで心がけている「100パーセント」のプレーを選択せずに、確率の低いシュートを放った際や精度の低いプレーをした際などには容赦なく言葉をぶつけていた。
高いレベルの試合になればなるほど1点の重みが大きくなる。近年、帝京はその1点で泣くことも多いだけに、三浦はリーダーの一人として指摘。これまでは進んで大声を出すタイプではなかったが、「みんな、緊張もまだしていたんで、『一人だけ声出して、浮いているくらいやらないといけない』と」。1年時からの経験者でもある自分の声で、チームの浮ついた部分を消そうとしていた。
その三浦は鮮やかなボールさばきとスペースを縫うドリブルでボールを前進させ、前半にはクロスバー直撃のヘディングシュート。後半25分には左SB石井隼太(2年)のFKから頭で決勝点を叩き出した。注目レフティーはチームを勝たせるプレー。念願の全国出場へ一歩前進した。
一方で、判定について主審に食い下がり、イエローカードを受けたシーンについては猛省。勝ちたいという気持ちが強すぎて、余裕をなくしてしまっていた。不要なカードはチームに迷惑をかけてしまう可能性がある。
ただし、淡々と勝利を目指していた印象の以前と比べると、意識が変化していることも確か。昨年、一昨年のように、あと一歩で負ける経験はもう、したくない。三浦は「去年、一昨年よりも出たいという気持ちが何倍も強いので、それが形になっているのかなと思っています」。力みすぎてはダメだろうが、強い気持ちを持ち続けて今年こそ、必ず全国切符を掴む。
(取材・文 吉田太郎)●【特設】高校選手権2018
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