[MOM2670]富山一FW佐々木大翔(3年)_“ヘタクソ”脱却の2ゴール!! リベンジに燃える負けん気ドリブラー
ゲキサカ / 2018年11月3日 20時49分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 高校選手権富山県準決勝 富山一高6-0富山中部高 小矢部市陸上競技場]
難しい時間帯に試合を動かしたのは、これまで“決定力”を課題としてきたドリブラーだった。「シュートがヘタクソ」と自嘲気味に述べる富山一FW佐々木大翔(3年)は準決勝の富山中部戦で決勝点を含む2ゴールを記録。あと一つに迫った全国の舞台は、チームにとって、そして自身にとってもリベンジの場だ。
「シュートがもっとうまければ、もっと点が取れる選手」。それが大塚一朗監督の“佐々木評”だ。やや突き放したような言い方ではあるが、明確な武器への期待の裏返しでもある。得点以外の部分では「シュッと動くところが持ち味。負けん気は強いし、相手より一歩先に動けるのが特長」と高評価を下している。
今秋の選手権予選では、チームが3試合で合計38得点を記録する中、佐々木はわずかに1ゴール。準々決勝の水橋高戦は大学受験で欠場したこともあり、「点を取れないと試合に出られない」と背水の陣でこの日の会場にやってきた。「親にも『決めて来い』と言われた」といい、プレッシャーと戦いながらピッチに向かっていたようだ。
だが、佐々木はそんな重圧に見事に打ち勝った。前半30分、最初の決定機は相手のビッグセーブに阻まれ、「正直、自信がなくなっていた」。しかし、同38分の再チャレンジで試合を動かす。左サイドからのクロスがゴール前にこぼれると、真っ先にボールにアプローチして左足を一閃。「めちゃめちゃスッキリした」という先制弾を叩き込んだ。
さらにチームが1点を加えた後半18分、今度は左からのクロスにそのまま合わせて追加点を奪取。「マークを外すのは自信がある」という一方、「ヘディングはあまり……」という背番号8だったが、クロスボールに飛び込む際のチームの約束事をしっかりこなすと、「自分でも驚きました」というドンピシャヘッドでネットを揺らした。
そんな佐々木の原動力は、時にはチームメートにも向けられる“負けん気”だ。たとえば自身が欠場していた準々決勝の水橋高戦。チームは苦戦を強いられながら2-0での勝利をおさめたが、「手こずったらしいので、自分が入って結果を残して、差を感じさせようと思っていた」と闘志を燃やしていたという。
また、全国ベスト8で涙をのんだインターハイでの悔しい経験も糧にする。とりわけ意識するのはチームメートのFW小森飛絢(3年)が得点王に輝いたこと。「自分が1点も取れなくて、飛絢は得点王。飛絢がめっちゃ注目されていて、めちゃめちゃ悔しかった」。課題を乗り越えるために居残りシュート練習に取り組み、冬の大舞台に照準を合わせてきた。
中学時代には所属していたカターレ富山U-15からU-18に昇格できず、「落とした人を絶対に見返してやる」と思ってプレーしてきた3年間。「自分のスタイルと合っている」というMFドウグラス・コスタ(ユベントス)のような選手になりたいといい、成長意欲は尽きることはない。「2点取れたことでモチベーションは高いので、この勢いのまま決勝でも活躍したい」。誰もが憧れる冬の全国選手権、リベンジの舞台は自らの足で切り開く。
(取材・文 竹内達也)●【特設】高校選手権2018
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