[MOM2679]佐野日大MF細谷洸太(3年)_動きの引き出し増やしたMFが全4得点に絡む活躍
ゲキサカ / 2018年11月5日 8時57分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 選手権栃木県予選準決勝 足利大附高 0-4 佐野日大高 栃木グ]
佐野日大高の2シャドーの右に位置するMF細谷洸太(3年)は立ち上がりから常に周囲に目を配りながら、DFラインの間やボランチとDFラインの間、ボランチ脇に顔を出して、ボールを引き出した。足利大附高の選手たちは、絶妙なポジショニングを見せる彼へのマークに苦しみ、徐々に守備のバランスを崩して行った。
前半12分には右ロングスローをCB大塚健斗(3年)がヘッドで繋いだボールに対し、「ボールが浮いて来たし、周りのDFが寄せて来なかった。でも、ゴールに対して後ろ向きだったし、トラップをしていたら打てないと思った」と、まさに咄嗟の判断でオーバーヘッドシュートを選択。ボールはゴール左隅に吸い込まれた。
「人生で初めて」と語るオーバーヘッドシュートで先制すると、後半6分には細谷の上げたCKから、FW山田大樹(3年)の追加点が生まれた。さらに8分、細谷は右サイドでボールを受けると、「(味方の)ウィングバックがオーバーラップして来なかったので、そのままドリブルで切れ込もうと思った」と、カットインを仕掛ける。
そして、立ちはだかった2枚のDFの間を破る形で突破をすると、「GKの股の間を狙った」シュート。これは足利大附のGK尾上玲央に阻まれたが、こぼれ球をFW小松虎太郎(3年)が蹴り込んで3点目を挙げた。一気に試合の流れを引き寄せると、後半アディショナルタイム3分には、山田のパスを冷静に蹴り込んで4-0。細谷は全てのゴールに絡む活躍を見せ、決勝進出の立役者となった。
殊勲の背番号7は、栃木県小山市出身。栃木SCジュニアユースでプレーし、ユースチーム昇格を言われていたが、「高校サッカーがやりたかった」と、佐野日大と矢板中央高で迷った末に佐野日大に進学を決めた。
1年時にチームは選手権ベスト4に進んだが、彼はメンバー外でスタンドから声援を送っていた。レギュラーとなった昨年は、矢板中央の分厚い壁を敗れず、夏冬ともに予選敗退。最高学年となった今年は、インターハイ予選決勝の矢板中央戦で何も出来ないまま、前半でベンチに退いた。
「自分が試合に一切関われていなかった。ボールに全く触れないまま、試合から消えてしまっていた」。
結果、チームは0-3の完敗。この時の悔しさが彼の意識を変えた。試合から消えないように、スプリントを増やして、ボールを引き出せるオフ・ザ・ボールの動きを工夫した。ボールを持てば突破出来る自信はある。だからこそ、良い形でもらえるように、彼は動きの引き出しを増やした。
「決勝では低い位置からの仕掛けのスタートになると思いますし、チャンスも多くはないと思うので、そこで決定的な仕事が出来るようにしたい。そこは山田や小松と連携をしっかりして戦いたい。自分のところで仕事をしなかったら勝てないと思っています」。
もう夏のような屈辱を繰り返さないために。そして、2年前に踏めなかった選手権のピッチを踏むために。細谷は高校3年間を懸けた決戦に、確固たる決意で臨む。
(取材・文 安藤隆人)●【特設】高校選手権2018
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