我慢強く、接戦モノにできるチームに変わってきた四中工、3年ぶり全国まであと1勝!:三重
ゲキサカ / 2018年11月4日 7時31分
[11.3 選手権三重県予選準決勝 四日市中央工高 2-0 宇治山田商高 東員町スポーツ公園陸上競技場]
第97回全国高校サッカー選手権三重県予選準決勝が3日に行われた。四日市中央工高と宇治山田商高の一戦は、前後半に1点ずつ奪った四中工が2-0で勝利した。四中工は10日の決勝で海星高と対戦する。
2年連続での決勝進出を果たした四中工だが、試合後に樋口士郎監督が「調子が上がらなかった。まったく戦えていないというか、球際で倒れているのもファールしているのもウチの選手。あれだけ上手く行かないと『参ったな』と感じ」と頭を抱えたように、序盤から理想的とは言えない試合展開が続いた。
「高校サッカーのひた向きな部分が出たチーム」と樋口監督が評する宇治山田商の気持ちのこもったプレーとMF岡野真大(2年)とFW濱田晃斗(2年)を中心に繰り出すカウンターに手を焼きながらも、四中工はロングボール主体の攻撃でチャンスを伺う。
すると、前半16分にはDF永崎楓人(2年)が右サイドからゴール前へロングスロー。ニアでFW中村健人(3年)が競ったこぼれからMF矢田聖真(3年)がゴールを狙ったが、ゴールの右に逸れた。続く19分にもDF江口和磨(3年)の縦パスを受けた中村が前方に出たGKを見て遠目からシュートを放ったが、これも枠を捉えることができない。
相手ゴール前まで行く場面はありながらも得点の匂いはなく、「何とか0-0で早く前半が終わってくれという展開」(樋口監督)。だが、前半アディショナルタイム、MF宮木優一(1年)のポストプレーを受けた中村がクロスバーに当てながらも左足シュートを決め、1点リードで試合を折り返した。
四中工は準決勝までと同様に、後半開始から注目2年生コンビのFW森夢真と田口裕也を前線に投入。攻撃のギアを上げた四中工は2人の仕掛けを中心に2点目を奪いに行く。14分にはU-17日本代表MF和田彩起(2年)の右クロスから宮木がドンピシャのヘディング弾を放ったが、宇治山田商GK上村画丸(3年)に阻まれCKに。それでも、直後にCKのこぼれ球を森が押し込み、宇治山田商を引き離した。以降も交代カードを切りながら、最後まで追加点を奪いに行く姿勢を見せた四中工が2-0で勝利した。
日本代表のFW浅野拓磨(ハノーファー)を筆頭に多くのプロサッカー選手を輩出し、三重県勢最多の選手権出場32回を誇る四中工だが、2015年に選手権予選を制して以来、県の頂点に立っていない。昨年も予選決勝まで進みながらも、1-2で逆転負け。「全国に行くのが当たり前のチームなのに遠い存在になってしまった」(矢田)。
ただ苦しい時期を乗り越えた現在は選手、スタッフとも全国でも戦えるだけの手応えを掴んでいる。毎試合得点が期待できる攻撃陣とともに課題だった守備もここまで無失点を維持。この日も、「これだけアカン状態の中でもよく失点ゼロで行けた」と樋口監督が胸を撫で下ろしたように、我慢強く接戦をモノに出来るようになったのは、これまでとの違いだ。矢田が「自分たちのサッカーは出来なかったけど、相手のやり方には対応できたと思う」と続けるように、相手に合わせて臨機応変に戦えた点もチームとしての成長と言えるだろう。あとは、残り1つ勝つだけ。樋口監督は「負けてばっかりなので、子どもたちには高校最後にかける気持ちを表現して欲しい」と選手にエールを送った。
(取材・文 森田将義)●【特設】高校選手権2018
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