“やり抜いた”最後の40分間…4強敗退の富山工・長谷川監督が涙の引退「幸せ者だなと」
ゲキサカ / 2018年11月4日 7時10分
なかでも指揮官が感銘を受けたのは「前半を忘れていたこと」だ。「良かったのは、前半の0-3ってスコアを忘れていたことなんじゃないかな。ゲームに没頭してね。自分たちが『行け!!』っていうのに応えてくれて、それを実現する40分だった。ビハインドだからエネルギッシュになれないんじゃなくて、自分たちがやりたいことをやってくれた。ありがたいよね」。
準決勝の舞台ともなればリスクを負っても加点するのは容易でなく、なかなかゴールを割れないまま時間が過ぎていく。しかし、選手たちに焦る様子はなく、いま繰り出すことのできる攻撃を次々に遂行。「生徒と一緒に『俺も行くぞ!』ってなってね。生徒たちも楽しかったんじゃないかな。やり切れている自分に手応えを感じちゃったりしてね」。
そんな心持ちが80分間を終えた選手たちの表情に表れていたのだという。「終わった瞬間はどっちが勝ったチームなんだ、お前ら負けたんだぞって思ったりもしたんだけどね。でも、それもそうなんだけど、彼らといい経験したなって。勝敗も大事なんだけど、最後にこういう形で終われたのはね、彼らが指導者になった時に忘れないでもらいたいです」。
指揮官は試合後、応援団と保護者との写真撮影を行い、笑顔で終えるつもりだったという。だが、そこではハプニング。「『何か一言を』って言うから、『おい、泣くからやめろ』って思ったんだけど、詰まって何も言えなかったら『それじゃ胴上げだ』って言い始めてね」。溜まった涙も乾かぬうちに59歳11か月の身体は愛する生徒たちの手で宙に舞った。「ありがたいね。幸せ者だなと思いました」。
(取材・文 竹内達也)●【特設】高校選手権2018
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