有言実行。アルゼンチンから初ゴールを奪ったブラサカ日本代表・川村が感じる収穫と課題
ゲキサカ / 2018年11月5日 7時1分
分厚かった壁をついにこじあけた。前半3分、川村怜が混戦から抜け出し、左足でねじこんだ。対アルゼンチン戦は5戦目にして日本代表は初ゴール。8月の南米遠征で無得点に終わった後から自らずっと言い続けてきたことを川村は実現し、チームに勢いをつけた。
「相手の寄せがそこまで激しくなかったところで、ルーズボールをうまく拾えました。どん欲に攻められました」
試合後、歴史的初ゴールを奪った川村に、はじけるような笑顔はない。その後、前半残りあと1分のところで同点にされ、結局3失点して負けたことが、主将としては悔しかった。
「前半の失点が非常にもったいなかった。チームとしてはどう守るか、明確にしていたのに甘さが出た。ダイヤの形を作って守り切ることは本来、得意なはずなのに、全体的に引きすぎてしまった」
”守ろう”という意識が強すぎて全体的にボール保持者へのプレッシャーが緩くなり、アルゼンチン代表を自由に動かすスペースを与えてしまったことによって、失点につながってしまった。
アルゼンチン代表からゴールを奪うことも初めてならば、そのリードを守ろうとする雰囲気が流れること自体も初体験。結局、実力差で見事にひっくり返されたが、これも日本代表が2年後にメダルを獲得するうえで乗り越えなければいけない試練だろう。
実は日本代表・高田敏志監督がアルゼンチン代表・マルティン監督と事前交渉し、4日の試合だけでなく、2日も非公開でトレーニングマッチを開催していた。15分3本の試合で0-1で敗れた。この時も2得点されたマキシミリアーノ・エスピニージョにゴールを奪われたが、日本は攻め方をあえてすべては出さず、意図的に封印して挑んだという。抑えなければいけない人物が明確になり、どう攻めれば得点につながる確率が高いか、データが残った。選手たちの体内には2試合分の「財産」が蓄積されたはずだ。
川村の最後の言葉に力がこもった。
「南米遠征からの2か月ですごく成長している感覚はあった。試合の中で体感した世界トップレベルの強度を忘れずに、練習の中でも1対1のデュエル(闘い)を思い出しながら取り組むことが、世界一につながると思う。日本人でも世界一を目指せるということを、自分たちが証明したい」
(取材・文 林健太郎)
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