[MOM2715]高知西DF工藤篤弥(3年)_CKから同点アシスト!CB転向で連覇の立役者に
ゲキサカ / 2018年11月18日 8時7分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.17 選手権高知県予選決勝 高知高1-2高知西高 春野陸上競技場]
昨年は初めての選手権出場を掴んだ高知西高だが、今年は新人戦、インターハイ予選ともにベスト8。「まさか決勝まで来られるとは思っていなかった」と寺尾拓監督すらも驚く快進撃を支えたのは、CB工藤篤弥(3年)だった。
今予選はCBを務めたが、本職は左SBでスピードと左足のキック精度を買われ、9月半ばにコンバートされたばかり。昨年はサイドハーフでの起用が多かった攻撃的な選手だが、試合をこなすうちに「最初は攻めたい気持ちもあったけど、試合で相手にシュートを打たせなかったりするうちにCBで頑張ろうと思えるようになった」と守備の楽しみを覚え、CBとして成長を続けた。
県2連覇をかけて挑んだこの日も彼の安定感は抜群だった。立ち上がりは徹底してロングボールを入れてきた高知高の攻撃に苦しんだが、CB市川陽太(3年)とのコンビで落ち着いた跳ね返しを披露。セカンドボールを中盤で拾えなかったために二次攻撃を受ける場面も多かったが、市川との息の合ったチャレンジ&カバーで決定機を与えなかった。
「最初にシュートを打たれてからは徐々に対応していって、前半の終わりには皆が慣れたと思う。目標としていた前半無失点を達成できたのは、チームとして大きかった」
後半11分にクロスからヘディング弾を決められ、追いかける展開を強いられたが、25分に右サイドからの仕掛けで右CKを獲得。「失点に僕も関わっていたので、ここで追いつこうと思いを込めて蹴った」という工藤のキックを、FW西村陸人(3年)が頭で叩き込み、試合を振り出しに戻した。
ここから工藤が見せたのは守備ではなく、本来の持ち味である攻撃性能だ。「今日は相手が引いていたので、CBでもドリブルで運んで前の選手にパスを入れようと考えた」と話す工藤は、疲労のせいでプレスが弱まった高知の守備を掻い潜り、最終ラインからドリブルで相手エリアまで持ち上がる場面が増加。彼の持ち運びによって、高知のマークがずれ、相手エリアで効果的な攻撃も増えた。
すると、後半アディショナルタイム3分に決勝点となるオウンゴールが生まれ、2-1で勝利。我慢強く戦い2連覇を引き寄せることができたのは、工藤の活躍があったからだ。
プリンスリーグ四国では複数失点を許す試合が続いたが、今予選で許した失点は決勝の1失点のみ。工藤が「準決勝も決勝も客観的に見れば、自分たちが攻め込まれているように見えたけど、シュート本数的には相手に自由に打たせなかった。そういう所を日々の練習や試合で意識してきたのが活きた」と話すように我慢強い守りでチャンスを待ち続けるのが勝利の方程式となった。
初の選手権に挑んだ昨年は、明秀日立高(茨城)に3失点し、涙を飲んだ。工藤自身も「自分も後半から出て、力を出せず悔しい思いをした」ため、リベンジへの想いは強い。昨年とは違った役割で挑む2度目の選手権は無失点での勝利が目標だ。
(取材・文 森田将義)●【特設】高校選手権2018
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