ブラインドサッカー東日本リーグが終了。たまハッサーズが優勝。エース黒田が優勝と得点王の2冠
ゲキサカ / 2018年12月5日 16時18分
【ブラインドサッカー東日本リーグ2018 最終節】(2日、小石川運動場)
すっかり日が沈んだ小石川運動場の夜空に、選手たちの歓喜の声がこだました。優勝が決まるとたまハッサーズの選手たちがかわるがわる胴上げをされた。10月に40歳になったエース黒田智成も「まず1冠だ!」と声をはりあげた。
「チーム全体でゴールをとることを目標にしてきた中で、その結果自分が点をとって、チームが勝つことにつながったので、そこはうれしいです」
この日試合がなかったたまハッサーズは前節までで勝ち点10で得失点差は+9。勝ち点7、得失点差+3で追うfree bird mejirodaiが第4試合に登場。7得点以上あげ、かつ6点差をつければ逆転で優勝をさらわれる可能性があったため、たまハッサーズの選手は、free bird mejirodaiの試合の行方をかたずをのんで見守った。3-0でfree bird mejirodaiが勝ち、得失点差で追い越されないとわかるまで気が抜けなかった。
たまハッサーズは4試合で11得点。うち9得点を黒田がひとりでたたき出した。
「僕はまだ決められるところを決めきれていないし、他の人が(ゴールを)とるのもこれからの課題です」。
チームの優勝と得点王という2冠に輝いても、浮かれた様子はない。黒田の脳裏に刻み込まれた12年前の「原風景」があるからだ。今年8月、南米遠征で黒田は南米遠征に参加。アルゼンチン・ブエノスアイレス、ブラジル・サンパウロでアルゼンチン代表、ブラジル代表と計4試合戦ってきた。
「ブエノスアイレスは2006年の世界選手権が行われた場所です。日本代表が初めて世界の舞台に立った大会だったんですが、そのときの世界選手権の会場を訪れて、原点に返ることができました。あの地で試合をして、自分たちの成長も感じることができましたし、さらに2020年の東京五輪にむかう中で当時の気持ちを思い出せた。あの時は歯が立たなくて本当に悔しかった。自分のブラインドサッカーの本当の意味のスタートの場所なんです」
ブラジルに0-7、パラグアイに0-3、イングランドに0-1。フランス、韓国には引き分けたが、スコア上で勝った試合はひとつもなかった。黒田はその時、ピッチをたたいて悔しがったのだという。
「点数差以上の力の差を感じたし、世界のブラインドサッカーのレベルを痛感させられた。カルチャーショックを受けたし、同時に力をもらった大会でした。あの悔しさがあったから『もっとうまくなりたい』という気持ちでずっと続けてこられたんだと思います」
勝負の厳しさを知っているからこそ、この日も第4試合が終わるまで祝勝会を行うためのお店の予約はしなかった。
「ウチのチームはほとんど(みんなで一緒に食事をすることを)しないんです。だから優勝したときぐらいはいいかな、と」
みんなでもつ鍋をつつきながら、来年2月のクラブ選手権での躍進を誓った。
≪KPMGカップ クラブチーム選手権出場予定チーム≫
たまハッサーズ (4回目)
free bird mejirodai(2回目)※
Avanzareつくば (4回目)
兵庫サムライスターズ(4回目)※
ラッキーストライカーズ福岡(3回目)※
コルジャ仙台ブラインドサッカークラブ(初出場)
山梨キッカーズ(2回目)
海外招待チーム
【注】2016、17年は予選トーナメントあり。※は予選出場回数も含む
(取材・文 林健太郎)
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