「一緒にいるから癒される」。夫婦で精神疾患と戦う障がい者サッカー日本代表の告白
ゲキサカ / 2018年12月6日 7時0分
どうしてサッカーを再開できたのだろうか。
「当時、Espasioの主将で日本代表の松嵜さん(俊太郎)のおかげです。何度も『一緒にやりたいんだ』と言ってくれました。最初、何か理由をつけて断っていたんですが、それでもぐいぐい言われて…。こんな自分でも必要としてくれたことがうれしかったんです」
11月、関東選抜で出場した竹田コーチ(右)とFWの幸子(左)
チームに加入して半年後、うつ病と戦う松嵜や作業療法士をつとめる大角浩平監督のすすめで、どんなことで悩んでいるか、チームメートに初めて伝えた。ごく親しい人にしか話していなかった病気のことを初めて広く伝えることで、固く閉ざしていた心の扉が少しずつ開かれた。また、智哉がチームメートの幸子に一目ぼれしたのを察知した松嵜は、2人を結ぶ「愛のキューピット役」までつとめた。
2人の症状は幸い、安定しているが、いい状態が必ずしも続かないのもこの病の特徴だ。2人が「共倒れ」する可能性もあるが、その不安は抱かなかったのだろうか。智哉は臆面もなくこう明かした。
「不安でしたけど、それ以上に一緒にいたい、と思ったんです。見るだけで癒されますから」。
隣でほおをあからめた幸子はこう続けた。
「タケさんに対して勝手に安心感を抱いています。一緒にいたら何とかなるだろう、と」
同じ境遇にいるパートナーを得たことで、何かあっても頼れる拠り所ができ、その心のゆとりが、必要以上に病気を意識することを軽減したに違いない。竹田智哉は最後にこう締めた。
「ソーシャルフットボールをプレーできている自分が、普及や競技レベルの向上に貢献したい。今回取材に答えさせていただいて、以前の自分のように今、暗闇にいる人やその方のご家族でもいいので、記事に気づいてもらって、『昔、サッカーやっていたけど、病院探してやってみようかな』とか考える橋渡しになるといいな、と。自分が話すことで、精神障害に対する偏見がなくなる手助けになればと願っています」
(取材・文 林健太郎)
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