[関西]手探りで掴んだ“創部4年目”の悲願…関西福祉大が1部昇格達成!:1部2部A入替戦
ゲキサカ / 2018年12月8日 20時10分
[12.2 第96回関西学生サッカーリーグ・1部-2部A入替戦 大阪学院大0-1関西福祉大 J-GREEN堺メインフィールド]
タイムアップの瞬間、フィールドの選手、ベンチのメンバー、そしてスタンドの部員たちから歓喜の声が湧きおこった。目標であった「1部リーグ」への切符を、ついに関西福祉大が掴み取ったのだ。
2015年に創部された関西福祉大サッカー部を率いる中田洋平監督は、「部を立ち上げたときに1回生だった選手たちが、4回生になる年に1部に昇格するというのが目標だった」と語る。初年度に3部チャレンジリーグで2位となり、2部Bリーグへ昇格を決めると、2年目は2部Bリーグで優勝し、翌年は戦う舞台を2部Aリーグへと移す。毎年、着実にカテゴリーを上げていったが、昨年は曲者ぞろいの2部Aリーグで5位に終わり、入れ替え戦にも届かなかった。勝負をかけた今年は「1部自動昇格」を目指したものの、最終節で昇格を争うライバル・大阪産業大との直接対決に敗れて3位となり、1部10位の大阪学院大と入れ替え戦を戦うことになった。
入れ替え戦に向けての練習は、「大産大に負けて、正直モチベーションが下がった状態でのスタートでした」と中田監督は言う。さらに関西1部-2部A入れ替え戦では、10年の京都学園大以降、2部Aチームは勝てていないという「1部の壁」を示すデータもあった。それでも「可能性がある限り、戦おう」とチームは結束した。
しかし、関福大はここまで常に自動昇格で上位リーグへと進んできたため、「入れ替え戦」の経験がなく、前半は硬さから押し込まれる時間帯が続いた。それでも「しっかり守備から入り、下がりすぎずにボールに対して行きつつも、我慢しよう」と意識を統一し、無失点で前半を終える。後半の勝負を決めたのは、分析に基づく自信だ。リーグ戦で大院大は60分以降に失点している試合が7割なのに対し、関福大は8割の試合で、60分以降の得点で勝負を決めている。「60分まで0-0で行けば勝機はある」という中田監督の読みどおりにチャンスが訪れる。
右サイドのDF棚町優也(4年=清明学院高)が相手のサイドハーフを振り切って駆けあがると、MF徳永祐哉(4年=鹿本高)にパス。徳永がゴール前へと入れたボールを、相手DFと競り合ったMF仙頭啓生(4年=京都橘高)が倒されてPKを獲得する。キッカーは仙頭。中田監督も「これまでここ一番でゴールを決めてきたし、彼以外は考えられなかった」と頼りにする仙頭がこのPKを決め、64分に先制する。その後は、大院大の猛攻を全員でしのぎ切り、念願の1部昇格を果たした。
1回生だけでスタートした創部当初、大学サッカーがどういうものかもわからず、ピッチ外の取り組みも含めて何度も選手たちでミーティングを重ねた。中田監督自身も、指導者としてのキャリアをスタートしたばかりですべてが手さぐり状態の中、学生たちと力を合わせてチームを作り上げてここまできた。昇格を喜び合う選手を見つめながらも、「ここまで来れたのは4回生の力も大きい。彼らが卒業して臨む1部リーグの戦いが厳しくなるのは承知しています。目標は残留だが、自分たちのボールを動かして攻撃するというスタイルは崩さずに戦い抜く」と中田監督は、先を見据える。「ここから、第二章がスタートです」と話すように、大きな舞台での闘いが学生たちを待っている。
(取材・文 蟹江恭代)●第96回関西学生リーグ特集
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