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「スーパーな選手になれる」。指揮官期待のブラサカ日本代表・日向賢が挑む”内なる戦い”

ゲキサカ / 2018年12月23日 7時53分

ボールを奪い合う日向賢(左)。

ブラインドサッカー日本代表が22日、千葉県千葉市内で年内最後の代表合宿を開始した。11月4日のアルゼンチン戦で試合に出場できなかったFP日向賢(ひなた・さとる)は、午後に行われた15分3本の紅白戦で、出場した2本はいずれも主力組に入り、日本代表・高田敏志監督の期待の大きさをうかがわせた。

「守備をしっかりすることや、攻守の切り替えが私の課題です。相手への当たり方、タイミング、ポジショニング、すべてにおいてまだ課題が多いです。主力組に入りましたが、公式戦の試合に出ないと始まりませんし、出られるように自分を高めたいです」

 静かに振り返った日向は普段、大手印刷会社でシステムの導入支援やトラブル対応、バックグラウンドの設定をする会社員。生まれつきの強度の弱視で高校時代から視力が落ち始め、大学に入った20歳前後で全盲となった。小さい頃から遊び程度でボールは蹴っていたが、ブラインドサッカーをやるきっかけを得たのは、知人に連れられて見た2009年のアジア選手権。当時は選手と同じピッチレベルで観戦可能だったため、壁際の攻防や息遣いの迫力に魅了されて、2010年から本格的にたまハッサーズではじめた。その年の日本代表合宿に練習生として参加した後から、日本代表に呼ばれるようになった。

 高田監督は、日向をこう評する。
「実はトレーニングでは一番うまい選手です。シュートの技術もエースの川村怜や黒田に劣らないし、トレーニングもものすごくしっかりやっている。ただ試合になると、相手選手に背中をむけてしまうことがあるんです。そのこわさを改善するためにメンタルトレーナーも加わって、取り組む姿勢の改善を図っているところです。こわさがなくなってくれば、スーパーな選手になれると思います」

 日本代表は川村、黒田のかわりになれる選手が不在で、彼らがフルタイム試合に出なければいけない現状がある。先制ゴールをあげながら逆転負けを喫した11月のアルゼンチン戦でも、結果的に後半に逆転されたことで層の薄さが課題として浮き彫りになった。日向の成長は日本代表の底上げにとっても不可欠なのだ。

 ただ、こわさとの戦いは単純ではない。見えていた人が見えなくなることによって無意識に芽生える恐怖心をぬぐうことは、周囲が考えるほど簡単ではない。絶対的なエース川村でさえ、急に相手選手が来てぶつかる感覚に慣れるのに時間がかかり、鼻骨骨折も重なって、一時的に競技を離れたことがあるほど。自らを「あまり自分から前に出ていくタイプではない」と評する日向はこう明かす。

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