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大怪我のエース、受け継いだリーダー…東邦を支えた2人の『10』

ゲキサカ / 2019年1月1日 6時30分

 ベンチ入りのメンバーは外れたが、直前までロッカールームに帯同していた石川も違和感を覚えていた。「やるのは選手たちなので、全員で勝ってしっかり年越しをしようって伝えたんですけど、選手たちは緊張状態にあって…」。その不安は現実のものとなり、「フワッとした」(横井監督)まま試合に入った。

 藤原が担っていたのは大分高の10番MF山口卓己(3年)へのマンマーク。「なるべく10番を視界に入れる形にしつつ、近くにいるように言われていた」(藤原)。バイタルエリアを動き回る相手に対し、4-1-4-1のアンカー的な位置取りでしぶとい対応を続けていた。

 だが、やはり様子がおかしい。サイドから攻め込まれれば全体がズルズルと引いてしまい、前半8分にクロスを起点とした攻撃から失点。藤原自身はその後、絶好機のボレーシュートもあったが、「固くなっていてミートしなかった」と実らず。そして同19分には、警戒していたはずの山口に追加点を奪われた。

 チームは前半終了間際に1点を返し、追い上げムードで後半に臨んだが、相手のパスワークの的を絞れず、3失点目で万事休す。「完敗じゃないですかね……。まったく通用しなかった。相手の10番、本当にうまかったです」(藤原)。表情こそ明るくも、悔しさはにじみ出た。

 試合後、スタンドで声援を送り続けた石川からは「自分のスタイルを貫き通したな。お疲れ」という言葉をかけられたという藤原。一方、石川は「怪我はしたけど、3年間一緒でトータルで考えたら楽しかった。キツい練習を一緒に乗り越えてきて、みんなにも感謝しています」としんみりと語った。

 なお、2人のサッカー人生は試合終了とともに分岐点を迎えていた。

 藤原は卒業後に就職が決まっており、第一線での競技生活は終了。それでも「サッカーに関わることはやめたくない」と前向きに語る。週末に時間のあった小中学生時代は名古屋グランパスを応援していたそうで、「試合を見に行ったり、東邦のOB会に顔を出したりできれば」と素直な楽しみを口にした。

 一方、負傷前はプロの注目も集めていた石川は大学で競技を続ける予定だ。「まずは怪我をしっかり治して、大学で結果を出してプロにアピールするところから。そしてプロになって、またこういうピッチに戻ってきたいです」。悔しさを抱えながら眺めた等々力のピッチを、いつか自らの晴れ舞台とするつもりだ。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2018

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