[MOM2777]立正大淞南FW藤井奨也(3年)_早くも5ゴール!!『17』の系譜継ぐ“ヤバい”得点感覚
ゲキサカ / 2019年1月2日 21時21分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 選手権2回戦 那覇西高1-6立正大淞南高 等々力]
1回戦の試合後にさらりと言ってのけた「二桁はいきたい」という公約。達成できれば史上最多が約束される数字だが、その目標を現実的なものとする活躍ぶりだ。1回戦で2得点を挙げた立正大淞南高FW藤井奨也(3年)は2回戦の那覇西高戦でハットトリックを達成し、早くも大会通算ゴール数を『5』とした。
「『17』に見合う活躍をしたいと思ってやってきた」。島根県出身の藤井は小学5年生の時、国立競技場のピッチに立つ地元の高校生に憧れ、自らの進路を決めたという。中でも記憶に残るのはエースナンバー17番を着けたFW加藤大樹(現金沢)。2010年度の選手権で7ゴールを挙げ、初の4強に導いたストライカーだ。
そんな熱い想いは南健司監督にも届いていた。「島根の子なので小さい頃から知っていて、すごいスピードがあるわけじゃない、すごいテクニックがあるわけじゃない、体が大きいわけじゃない。でも、入っていく力はすごかった。言うなれば得点感覚ですね」。中学3年でそれが「ヤバい」の域に達し、声を掛けたという。
期待どおり2年生の昨季からレギュラーを掴んだが、全国大会はノーゴールで初戦敗退。今大会には1年分の悔しさをため込んで臨んでいる。1回戦の岐阜工戦では2ゴールを含む全4得点に絡む活躍で、4年ぶりの初戦突破に大きく貢献。試合後に「得点王を取りたい。二桁はいきたい」とあっさり言ってのけた。
これまでの大会通算得点記録は、2007年度にFW大迫勇也(現ブレーメン)が打ち立てた10得点。すなわち、もし藤井が二桁の数字を積み重ねれば、過去96回の歴史で最低でも最多タイの大記録に到達する計算。むろん簡単に達成できるハードルではないが、藤井は2試合目で早くも『五合目』まで辿り着いた。
まずは前半14分、PA内で相方のFW鶴野怜樹(3年)がドリブル突破をしかけるやいなや、迷わず左サイドの持ち場から中央に走り込んだ。鶴野のシュートは相手GKに阻まれ高く浮いたが、落下点にいち早く構えていた藤井は小さな体を伸ばし、泥くさいジャンピングヘッドで押し込んだ。
「いつ左サイドから動いたか分からなかった」という指揮官にとって、これこそが惚れ込んだ『得点感覚』。さらに後半26分、鶴野のパスから2点目を左足で流し込むと、同29分には鶴野が得たPKを任せられ、今度は右足で決め切った。「両足には自信がある」(藤井)。頭、左足、右足と多彩に奪った3得点だった。
「点を取るために、いつもの練習や自主練から試合をイメージして取り組んでいる。また、試合の中でも自主練をイメージしてシュートを打っている」。点取り屋としての自覚を語った藤井について、南監督は「僕が教えたのは蹴り方くらい。あれは教えてできるレベルではない」と最大級の賞賛を送った。
もっとも、得点をハイペースに重ねているとはいえ、まだ半分の数字。日本一という目標までは4勝が必要になる。「チームとしての目標は日本一。個人としては得点王。そのために二桁取りたい」。あらためて大きな目標を語った17番は「結果的には良い結果だったけど、これに満足せず、次の試合でも点を取りたい」と気を引き締め、翌日の試合に視線を向けた。
(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2018
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