王者・前橋育英敗れる!“福島の星”尚志が11年度以来となる8強入り!
ゲキサカ / 2019年1月3日 13時45分
[1.3 選手権3回戦 前橋育英高 1-2 尚志高 浦和駒場]
尚志が王者撃破! 第97回全国高校サッカー選手権は3日、3回戦を行った。前回優勝校の前橋育英高(群馬)と尚志高(福島)との一戦は、左SB沼田皇海(3年)の左足FK弾とU-17日本代表FW染野唯月(2年)のゴールによって2-1で尚志が勝った。
“福島の星”尚志が今大会の台風の目となっている。九州の強豪・神村学園高との初戦をPK戦の末に制すと、2回戦では15年度2冠の東福岡高を撃破。そして、この日は王者・前橋育英に快勝した。
12月のプレミアリーグプレーオフ2回戦でJユースカップ優勝の横浜FMユースを雨中の逆転劇で破り、19年のプレミアリーグ昇格を決めてから続いている勢い。大興奮のプレミアリーグ昇格決定直後にMF大川健主将(3年)は「一番の目標は選手権。選手権で全国制覇するという目標を持ちながらやっていきたい」と語っていたが、その目標に一歩一歩近づいている。
前半は一進一退の戦いだった。互いにバランスを崩さないように意識しながら後方からのビルドアップ、サイド攻撃、ショートカウンターと多彩な攻撃で相手の守りを破ろうとする。
その上で前橋育英は右SB近藤友喜(3年)のロングスローやU-18日本代表FW榎本樹(3年、松本内定)の高さを活かした攻撃。27分には近藤のくさびのパスから、榎本がPAへループパスを入れ、抜け出したFW室井彗佑(3年)が決定的な左足シュートを放つ。
一方の尚志は大川とMF坂下健将(3年)のダブルボランチが右サイドの俊足MF加瀬直輝(3年)へ大きな展開。加瀬のクロスや抜け目なくゴールを目指すMF坂下健将(3年)の侵入する動きなどから先制点を狙っていく。
そして尚志は、前半35分に左MF吉田泰授(3年)、後半開始から身体能力の高いDF高橋海大(3年)を前線へ入れてギアチェンジする。前橋育英は後半立ち上がり、MF秋山裕紀(3年、新潟内定)がワンツーからPAへ切れ込もうとしたが、それを凌いだ尚志が先制点を奪う。
後半8分、高橋が右中間PAやや外側でFKを獲得。キッカーの左SB沼田皇海(3年)が得意の左足を振り抜くと、壁の中央を越えたボールがそのままニアサイドのゴールネットに突き刺さった。
「皇海(スカイ)」の名を持つ沼田の“スカイ砲”が炸裂。鮮やかなゴールに尚志イレブンが喜びを爆発させる。尚志はその熱気冷めぬまま迎えた11分、右サイドでボールを持った加瀬がDF2人の間を突破。これをファーサイドの染野が1タッチで決めて2-0とする。
苦しい展開となった前橋育英だが、終盤に意地を見せる。31分、右サイドをコンビネーションで打開。そして秋山のスルーパスで抜け出したMF高橋尚紀(3年)が一度GKに防がれながらもこぼれ球を強引にねじ込んで1点差とした。
勢いを加速させた前橋育英が尚志ゴール前に押し寄せる。勝利への思いをぶつけ合った終盤戦。尚志はCB黒澤誓哉(3年)やCBフォファナ・マリック(3年)が気迫の守りで王者の攻撃を跳ね返していく。そして試合終了の笛。東日本大震災直後の11年度選手権で4強入りした“福島の星”尚志が、「福島に感動を」「勇気を」の思いを結実して7年ぶりの8強入りを果たした。
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018
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