[MOM2801]青森山田FW小松慧(3年)_出場1分後に同点弾!「炎のストライカー」が青森山田救う!
ゲキサカ / 2019年1月13日 1時29分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.12 選手権準決勝 尚志高 3-3(PK2-4)青森山田高 埼玉]
「炎のストライカー」が青森山田高を救った。青森山田FW小松慧(3年)は毎試合前に憧れの存在である元日本代表FW中山雅史のプレー動画を見て、ゲームに臨んでいるという。「中山雅史選手を目標にして、『炎のストライカー』と言い続けてきた」小松が、泥臭いゴールで青森山田を救った。
1点を追う青森山田は、後半41分に「『炎のストライカー』と自称ですけど、そんな形で。何かやってくれるという奇跡の男」(黒田剛監督)小松をピッチへ送り出す。その小松は投入1分後の42分、前線に上がっていたCB三國ケネディエブス(3年)が競り勝ったボールに反応。諦めずに追って相手のクリアを引っ掛け、そのまま抜け出すと、右足で同点ゴールを流し込んだ。
尚志高のエースFW染野唯月(2年)に3得点を奪われ、チームは窮地に立たされていた。それでも、「(黒田)監督に(投入することを)言われたのが残り8分で、自分はアップしながら『8分あれば十分だ』と自分に言い聞かせながら『来い』という感じだった」というFWは、投入直後から持ち味である全力プレー。フルスロットルで相手に襲いかかり、大仕事をしてのけた。
本人はゴールシーンについて、「無我夢中で走っていたのであまり覚えていない」と微笑む。それでも、青森山田で誰よりもゴールを欲してきたFWの決めた千金弾。それは、何度も悔しい思いを経験し、それでも諦めずにトレーニングしてきた小松が引き寄せたゴールだった。
小松は今年のプレミアリーグEAST開幕戦から2試合連続で先発出場。前線でがむしゃらにゴールに向かう「炎のストライカー」は相手にとって嫌な存在だったが、怪我もあってコンスタントに先発出場することができなかった。もう一つ安定して先発できなかった理由が、決定力不足だ。
青森山田のチームメートは毎試合必ず決定機を作り出してくれていた。インターハイの県予選決勝などはそれが4回、5回とあったが、小松はゴール前で力みすぎてしまうなど、それを得点に結びつけられなかった。ゴールに並行に出されたパスを外したことも、足で合わせれば良いシュートに頭から飛び込んで外したこともある。繰り返し走ることのできる力の持ち主は、多くのチャンスに絡んでいたが、その数だけシュートを外してしまっていた。
黒田監督からは常々「思いは強いけれど技術が伴っていない」と指摘されてきたという。本人もなかなか結果が出ずに悔しい思いをしてきた。それでも「FWの価値はゴール」とこだわり、ゴールを目指し続けてきた男が大舞台でゴールを決めた。
「こういう舞台で決められたのは監督が言い続けてくれたから」と小松は感謝。“何かやってくれる”ことを期待して送り出した黒田監督も「よくあそこでしっかりと同点ゴールを決めてくれた」と喜んでいた。
劇的な同点ゴールの5分後に訪れたビッグチャンスはGKに当ててしまい、ゴールならず。まだまだであることを再確認した。それでも、自身のゴールでチームメートともう1試合戦う権利を掴んだ小松は決勝でも変わらずに走り、ゴールを目指し続けるだけ。そして、この日のように、チームに歓喜をもたらす。
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018
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