PK戦勝利直後に流れた涙…青森山田DF三國ケネディエブス「負けたら自分のせいだった」

ゲキサカ / 2019年1月13日 1時27分

青森山田高(青森)DF三國ケネディエブス(写真協力・高校サッカー年鑑)

[1.12 選手権準決勝 尚志高 3-3(PK2-4)青森山田高 埼玉]

 勝利したのに涙が溢れ出した。青森山田高(青森)DF三國ケネディエブス(3年)は「嬉しかったけど、申し訳ない気持ちがあった」とその理由を語った。

 準決勝までの3試合で青森山田は計11点を奪い、実に10人もの選手がゴールを陥れていた。無得点だった三國は「プレミアの後期も点を取れていなかった。選手権では絶対にヘディングで決めたいと思っていたし、すごい点が欲しかった」とゴールへの意欲も燃やしていた。そして、1-1で迎えた後半28分に待望の瞬間が訪れる。MF檀崎竜孔(3年)が蹴り出したCKをニアサイドで反応すると、「良いボールを蹴ってくれた。当てれば入る形だった」とヘディングで合わせてネットを揺らし、一時は勝ち越しとなる今大会初ゴールを記録した。

 その後、尚志に逆転を許しながらも、後半42分にFW小松慧(3年)の千金弾で3-3の同点に追い付くと、勝敗の行方はPK戦に委ねられた。

 ここで、青森山田を率いる黒田剛監督には少しだけ不安があった。「ケネディは練習からPKを外していたので、やめようかなと」思ったようで、本人に「お前、やめるか」と問いかけたという。だが、返ってきたのは「蹴らしてくれ」という言葉だった。

 三國は2人目のキッカーとして登場。「右に蹴ろうと思った」ものの、GK鈴木康洋(2年)が「ちょっと右にズレたような感じがした」ため、蹴る方向を左に変える。しかし、「左に蹴ろうと思ったら、GKが左に飛んだので、その瞬間にヤバいと思った」と迷いながら放ったシュートはゴール上に外れてしまった。

「天然芝で練習しているときはふかしたりして、ほとんど外していた。昨日の練習でPK練習をしたときは1本蹴って決めていたので、その形で蹴ろうとしたけど…」と試合後に悔しさを滲ませる一方で、指揮官は「ケネディ以外はそんなに心配しないで見ていたけど、やっぱり心配したところだけが外したなという印象。『やっぱりダメだったな』という言葉を掛けたい」と白い歯を見せながら振り返る。

 この1本の失敗によってチームが敗れれば、指揮官からこのような言葉は出なかったはずだ。リップサービスとも言える言葉が出たのも、チームがPK戦を4-2で制して決勝戦へと駒を進めたからこそだろう。

 5人目のキッカーとなったDF藤原優大(1年)がきっちりゴールを決め、決勝進出を決めると、三國はセンターサークル内で膝をついて涙を流し、立ち上がれない男を味方が抱き寄せる場面があった。「負けたら自分のせいで負けたとなっていた。でもマサ(GK飯田雅浩)が止めてくれて試合に勝てて決勝に行けた。すごい嬉しかったけど、申し訳ない気持ちもあった。そうしたら、涙が出てきた」。安堵して流れた嬉し涙だったのか、PK失敗を悔やんで流れた悔し涙だったのか。試合終了直後の感情は、それほどまでに複雑だったようだ。

 苦しみながら辿り着いた決勝の舞台。2日後の14日に流経大柏と対戦する。尚志に3失点を喫したことで「反省して、ディフェンスラインでしっかり話し合いたい」と表情を引き締めると、「絶対に前線は点を取ってくれると思うので、決勝ではどんな形であろうと、絶対に失点しない気持ちを持って無失点に抑えたい」と力を込める。

 無失点に抑えて勝利を収め、2年ぶりの頂点にたどり着いた時、また涙するかもしれない。今度は嬉し涙だったと間違いなく言えるようなプレーを見せて、チームを日本一に導きたい。

(取材・文 折戸岳彦)
●【特設】高校選手権2018

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