「マンツーに変えてきた」歴史的V弾の20歳冨安、サウジ弱点を初見で看破
ゲキサカ / 2019年1月22日 5時13分
[1.21 アジア杯決勝T1回戦 日本1-0サウジアラビア シャルジャ]
20歳77日でのA代表初ゴールは、アジアカップでの日本代表史上最年少ゴール。さらに、決勝トーナメントでの勝利を導く値千金の決勝弾だった。前半20分、強烈なヘディングシュートを叩き込んだDF冨安健洋(シントトロイデン)は「今日のような苦しいゲームを勝ち切れたのは大きな意味がある」と落ち着いた様子で語った。
敵陣ゴール前で違いをつくったのはセンターバックならではの視点だった。この試合でのサウジアラビアは、セットプレー守備の際に「今までのゾーンプラスマンツーからマンツー(マンツーマン)に変えてきていた」と冨安。危険なエリアと相手選手を同時にチェックする陣形から、より選手にフォーカスする陣形を取ってきていたのだという。
この試合で最初のセットプレーだったが、相手の違いを目ざとく見つけた冨安は「ギャップが生まれると思っていたし、マンツーにしてはゆるいと思っていた」と弱点を認識。「一本目でゾーン(役)がいないと思ったし、ゾーンプラスマンツーはシントトロイデンでもやっているけど、マンツーに変わってすぐに対応するのは難しい」と自身の経験も生かし、見事にマークを外していた。
こうして優位な形でアプローチできれば、188cmという長身は大きな武器。試合前の取材で「セットプレーで決められる選手になりたい」と語っていたが、有言実行のゴールを決めてみせた。それでも「嬉しかった」と控えめに喜んだ冨安は「まだ序盤だったし、まずは取った後の5分、10分を切らさないことを考えた」と冷静に振り返った。
「個人的に攻撃より守備で良さを出す選手だと思っているし、先に予測して対応してピンチの芽を摘むというか、地味な見えないところでやれれば」と語ったように、守備の貢献度も絶大だった。相手の縦パスにはスマートな競り合いで足を出し、小細工をしかけてくる相手1トップには賢くファウルを避けながら対処。終始、安定感のあるプレーを続けた。
初ゴールという“見える部分”、守備という“見えない部分”で日本をベスト8進出に導いた冨安だが、現在の立ち位置にも満足はしていない様子。「まだ優勝していないし、何も勝ち得ていない。一つ一つ勝っていくしかないし、そのハングリーさを自分に求めながらやりたい」。アジアの舞台で飛躍を遂げ、日本の歴史に名を刻んだ20歳は謙虚に次の一戦を見据えている。
(取材・文 竹内達也)●アジアカップ2019特設ページ
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