[新人戦]初芝橋本が和歌山準決勝突破。決勝で試される選手の”本気”
ゲキサカ / 2019年2月9日 23時37分
[2.9 和歌山県高校新人大会準決勝 初芝橋本高 1-0 和歌山南陵高 和歌山北高西校舎]
平成30年度和歌山県高校サッカー新人大会の準決勝が9日に行われ、初芝橋本高と和歌山南陵高が対戦。MF西淵啓斗(1年)の決勝ゴールによって、初芝橋本が1-0で勝利した。
白星は手にしたが、初芝橋本の選手と阪中義博監督に笑顔は見られない。試合後に指揮官からこぼれる言葉も現状に対する不満ばかりで、「新人大会をどうでも良いとは思っていない。優勝したいと思っているのなら、この内容ではいけない」と試合を振り返った。
低調な試合内容となった原因は消極的なボール運びだ。惜しくも相手DFにクリアされたが、前半3分にはPA左でボールを受けたFW中谷将也(2年)がGKをかわすなど、出だしは良いスタートを切ったが、以降は「僕らの陣地で繋ごうという意識が強く、ボールを前に運べなかった。自分たちのミスでボールを失ってカウンターを受ける場面が多かった」(DF南條斎、2年)。阪中義博監督も「後ろでボールを回せとは指示したけど、相手が出てきたタイミングで背後を突いて欲しかった」と続けた。
前日のミーティングで伝えたサイドの幅を使った攻撃と、クロスに対するセカンドボールの反応に関しても上手く行かず。ボランチからの縦パスを相手に奪われ、相手を勢いづかせる要因と自ら与えていた。対する和歌山南陵の狙いはシンプルで、ボールを奪ったら素早く1トップのFW江川公亮(2年)へと展開すると、彼のポストプレーからMF川邊海人(2年)と土居豊典(1年)の両翼が速さを活かした仕掛けを披露。23分にはMF渡辺要(2年)のインターセプトから江川が左足シュートを放ち、スタンドを沸かせた。
初芝橋本にとって満足の行かない試合展開が続く中で、試合が動いたのは31分だった。南條が右サイドを破り、ゴール前にクロスを展開すると、反対サイドから中に絞って反応した西淵がファーストタッチで上手くボールをコントロール。豪快に放った一撃がゴールネットを揺らし、初芝橋本が均衡を崩した。
後半は先制点を奪った勢いで、追加点を狙いたいところだったが、後半3分には和歌山南陵に決定機を献上。幸いにも相手がシュートを外し、難を逃れた。ここから再び気を引き締めた初芝橋本は「決めきるところを決めきれず厳しい試合になったけど、DFラインは良く粘れた」(DF高谷和希、2年)ことによって、逃げ切りに成功し、1-0で勝利した。
今年の初芝橋本は決して個の能力が低いわけではない。守備の強度は県内でも屈指。攻撃も様々な個性を持ったアタッカーが揃い、冬休みに行ったフェスティバルも全国の有名校と互角以上の戦いを繰り広げて上位進出を果たしたが、決勝で京都橘高に0-6で大敗した。ブレーキとなったのは、メンタルの部分で、阪中監督は「真面目すぎるのは良いことだけど、ピッチでのずる賢さが足りない。試合になると緊張する選手が多い」と評する。
中ゼロ日で迎える決勝戦で劇的な変化を生む特効薬はない。この日の試合で怪我人が続出したため、ベストメンバーを組むのも難しい。決して分が良いとは言えない状況で、意地を見せられるか。昨年の選手権予選決勝で敗れた和歌山北高に挑む決勝戦では、選手の“本気”が試される。
(取材・文 森田将義)
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