[もうひとつの高校選手権・開幕直前]出場校紹介:静岡県立藤枝特別支援学校焼津分校
ゲキサカ / 2019年2月13日 23時56分
ピンチはチャンス!サッカー王国を制した新顔の野望
第4回全国知的障害特別支援学校高等部サッカー選手権「もうひとつの高校選手権」が16日に静岡県藤枝総合運動公園サッカー場で開幕する。ゲキサカでは本日から代表10校を紹介する連載の7回目は初出場の静岡県立藤枝特別支援学校焼津分校。
足りないことをプラスに変える。創部6年目で初の全国切符を手にした静岡県立藤枝特別支援学校焼津分校の大石俊一監督は、サッカー王国といえども部員集めに悩む現状をチームをまとめるプラス材料にしようとしている。
「ウチはサッカー部員自体はようやく11人そろうぐらい。ですから本来はバスケット部にいる子を2人ぐらい応援を願って出ることになると思います。ピッチにサッカー経験が浅い子が最大2人いる可能性も出てきますが、彼らができないことを責めるのではなく、その子たちをうまく使いなさい、と言い続けています。彼らはボールをしっかり止めることができるので、パスしたらまたもらいにいけばいい。普段の練習でも、技術のある子とそうでない子を組ませてパス練習するよう、意識しています」
サッカーはひとりではできない。チームには1年生ながら静岡選抜・東海トレセンの合宿にも呼ばれた有能な選手もいるが、夏は中部予選で静岡北特支南の丘分校に敗れた。しかし、秋の県大会決勝の再戦でリベンジをはたし、初の全国切符を手にした。何が変わったのか。
「技術がある生徒などは入学当初は『自分が、自分が』と言う気持ちが強かったのですが、秋口あたりから周りの選手を使いながら自分が生きることも覚えてくれた。意識が変わりました」
知的障がい者のサッカー部は、経験者を集めるだけでも苦労する。それはサッカー王国・静岡にあっても同じだ。したがって、部の中で、うまい選手とそうでない選手の力に開きがあり、上手な選手が未熟な選手を「なんでできないんだ」と責めることがあり、藤枝特別支援学校焼津分校も例外ではなかった。お互いの存在を認め、成長を待つために必要な我慢強さは、「朝活」で培われた。毎朝、必ず「朝読書」と「朝トレ」の時間があり、「朝トレ」はラジオ体操の後、生徒全員5分間走を行う。1周250mのトラックを何周回れるか。達成度を毎日記録して、先生が評価する。ここで走力が磨かれたサッカー部の生徒などは、焼津水産高校と合同で行われるマラソン大会でも3位に食い込むほど。日々の自分に対して挑戦する時間が心と体の「スケール」を大きくしている。
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