選手権8強・矢板中央の新主将CB長江、先輩から学んだことを実践しながら昨年超えに挑戦
ゲキサカ / 2019年2月27日 20時40分
矢板中央高(栃木)にとって18年シーズンは強さを示したと同時に悔しい一年となった。プリンスリーグ関東では昇格1年目ながら、横浜FMユースとの開幕戦を2-1で制すと、そのまま開幕6連勝を記録。後半戦でも勢いは衰えること無く、12勝5分1敗という堂々の成績で初優勝を果たした。
栃木県内3冠も達成。だが、インターハイは注目カードとなった1回戦で東福岡高(福岡)の前に屈し、プレミアリーグ参入戦では“昇格決定戦”で大津高(熊本)に1-3で競り負けてしまう。そして、日本一を目指して戦った選手権も準々決勝で優勝校の青森山田高(青森)に1-2で逆転負け。強豪居並ぶプリンスリーグ関東や選手権で強さを発揮したが、大目標には手が届かず、先輩たちは悔し涙で1年を終えた。
新チームは昨年から出場していた選手がわずか。周囲からは厳しい評価を受けているが、それでも新人戦で昨年からの堅守を継続したチームはCB長江皓亮主将(2年)やGK溝口陽日(2年)を中心に無失点優勝を果たした。昨年の経験者の一人である長江は、先輩たちが喫した敗戦で学んだことを活かしているのだという。
青森山田戦では先制しながらも前半終了間際にセットプレーから失点。相手に試合の流れを渡してしまった部分があった。それだけに、「去年の山田戦の失点から、時間帯を今年はもうちょっと意識して、前半後半の立ち上がりと終わりは割り切ってやると自分たちで決めていて、そこのところは意識しています」。前後半の立ち上がりと終わりは難しいことはせずに、失点しないことに集中する。相手のDFラインを壊すようなダイナミックな攻撃、セットプレーの強さなど良いものを受け継ぎながら、課題となった部分を意識して戦ったことが一つ結果に繋がった。
高橋健二監督は経験値の多い長江を新チームの主将に任命。本人はこれまで主将を務めた経験が無く不安だったというが、1年間隣でプレーしてきた前主将CB白井陽貴(3年、日本高校選抜)から学んだことを実践しようとしている。
「(白井の存在は)勉強になりました。練習でめっちゃ声を張っていた。試合でも横に声かけてくれたり、チャレンジに行きやすかったから。もっと自分が(コンビを組むCB矢野息吹ら周囲に)声をかけてチャレンジしやすくしたい」と語る。その白井は後継者となる長江、そして後輩たちに向けて「(長江は怪我のため)選手権は出られなかったけれど、プリンスとかずっと出ていたので、経験がある。あまり喋る方ではないけれど、プレーはできるので(彼に)付いて行ってもらえれば」と期待した。
今年は高さを活かした守りで軸となる長江や溝口を中心に、高橋監督が得点力に期待する1年生FW多田圭佑や新人戦で10番を背負ったFW久永武蔵(2年)、新人戦決勝で決勝点を決めたMF靏見拳士朗(2年)、MF佐合修土(2年)、右SB柿崎貴翔(2年)、そして大型DFなどが入部予定だという新入生の力も合わせて先輩が成し遂げられなかった目標達成を目指す。
タレント揃いだった昨年に比べて個々の力で劣るのは確か。それでも、長江は「(評価)見返してやりたい。去年が強かったですし、一昨年もベスト4だったので。選手権も自分たち(の代)は出れていないですけれど、去年選手権でベスト8だったのでそれを越せるように、日本一を目指して頑張りたい」。課題を改善しながら一年間かけて成長を遂げて、周囲を「見返す」。
(取材・文 吉田太郎)
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