“10年後に通用する選手を育てること”をテーマとした取り組み。「2019 umbroユースチャレンジ」で指導者もサポート
ゲキサカ / 2019年3月11日 16時24分
3月9日から2日間に渡って、高校年代のフェスティバル「2019 umbroユースチャレンジ」が行われた。西日本の注目17チームがJ-GREEN堺に集まった今大会は、総当たり戦と各ブロックを勝ち上がったチームが対戦するミックス形式で大会を実施。各コートで白熱したゲームが繰り広げられると同時に、ピッチ外で今大会ならではの取り組みである「umbroアカデミー」も実施された。
「umbroアカデミー」とは、“10年後に通用する選手を育てること”をテーマに行う取り組みだ。昨年は講師にUEFAプロライセンスを保有し、SVホルン(オーストリア)の監督も務めた濱吉正則氏(現・九州産業大監督)を迎えて、計6回の講義を実施。今回は、大会初日に各試合をスカウティングし、その日の夜にフィードバックと「ヨーロッパの育成・指導との違いから考える、日本サッカーの現在と未来」についての講義を行った。
大会について、濱吉氏は「ガンバ大阪ユースを筆頭に高校年代のトップクラスが来ている大会なので、非常に高いレベルのチームが来ていたし、個々で見ても光る物を感じる選手がいた」とコメント。中でも印象に残ったチームが東海学園高で、「ビルドアップの時に縦パスを入れたり、ボールを受ける際にターンをしたり、選手も指導者もチャレンジしていた。リスクを恐れず崩したり、意図的な攻撃を徹底してやろうとしている所が好印象だった」。大きなCBにビルドアップをさせたり、サイドの選手に積極的な仕掛けを求め、プロで通用する選手を育てる意図を感じたというG大阪ユースや、全敗で終わったものの最終ラインからのビルドアップを徹底した高知中央高の名前も挙がった。
講義で濱吉氏が伝えたのは、チームで共通認識を持つことの重要性だ。この10年、日本は個の育成が叫ばれたが、オン・ザ・ボールの部分しか教えないチームやボールを持ったらドリブルしかしないチームなど、組織的な戦いが不足しているチームも増えてきた。組織と個の育成は相反する物だと考える人も多いが、それぞれを別で考えるのではなく、チーム全体で共通理解を高めることで、それぞれが持っている能力を出しやすい環境を作るのが理想だ。そのためには、1日に行うトレーニングが全て繋がっていなければいけないという。
また、様々な指導にまつわる情報を摘まみ食いする問題についても指摘した。スペインやドイツなどワールドカップを制した国のスタイルだけでなく、その時々の日本代表監督が志向するスタイルが流行してきたが、「近代サッカーには、チームとしての共通理解とプレースピードという普遍的な部分がある。そこにトレンドが加わっているだけ」(濱吉氏)。そうした理解ができれば新たなトレンドが来ても、アレンジを加えるだけで指導者は対応できる。また、10年先にどんなスタイルが流行り、どういった選手が求められるかも予測しやすくなるという。
講義を受けて、すぐにチームと選手は変わらないが、共通理解とプレーモデルの言語化する重要性を口にする指導者がいた。大会2日目には視察を行う濱吉氏の下を訪れ、意見を求める指導者の姿も見られた通り、選手だけでなく、指導者にとっても価値のある大会であったのは間違いない。
(取材・文 森田将義)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
指導者の言いなりサッカーに未来はあるのか?「ミスしたから交代」なんて言語道断。育成年代において重要な子供との向き合い方
REAL SPORTS / 2024年7月26日 9時40分
-
ユース取材ライター陣が推薦する「クラセン注目の11傑」vol.1
ゲキサカ / 2024年7月22日 7時17分
-
サッカーを楽しむための公立中という選択肢。部活動はJ下部、街クラブに入れなかった子が行く場所なのか?
REAL SPORTS / 2024年7月16日 2時33分
-
「サッカー続けたいけどチーム選びで悩んでいる子はいませんか?」中体連に参加するクラブチーム・ソルシエロFCの価値ある挑戦
REAL SPORTS / 2024年7月9日 2時36分
-
個人の繋がりからグループの全体像を描くブレないアカデミーのフィロソフィー。さらなる進化を期す熊本U-18は長崎総科大附とスコアレスドロー
ゲキサカ / 2024年7月7日 18時25分
ランキング
-
1【パリ五輪】スケボー男子の堀米雄斗が金メダル!「諦めかけたこともあった」滑り込み五輪内定から大一番で強さを発揮し、堂々2連覇
スポーツ報知 / 2024年7月30日 1時25分
-
273キロ級・橋本壮市 32歳初五輪で意地の銅メダル!“微妙判定”乗り越え…笑顔でスタンドに投げキッス
スポニチアネックス / 2024年7月30日 1時25分
-
3女子57キロ級・舟久保遥香が涙、涙の銅メダル!9分超激闘制し日本柔道通算100個目のメモリアルメダル
スポニチアネックス / 2024年7月30日 0時45分
-
4馬術「初老ジャパン」に超豪華プレゼンターがメダル贈呈 驚きの声「高尚なスポーツだなぁ」
THE ANSWER / 2024年7月30日 9時3分
-
5【パリ五輪】体操ニッポン金メダル 絶望的状況から中国を3・267点差大逆転 橋本「あきらめなくてよかった」2大会ぶり団体王座奪還
スポーツ報知 / 2024年7月30日 3時9分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)