[新人戦]立正大淞南がPK戦で作陽振り切る。4年ぶりに県内敗戦経験の選手たちは危機感も
ゲキサカ / 2019年3月17日 7時49分
[3.16 中国高校新人大会1回戦 立正大淞南高 2-2(PK4-3)作陽高 広島皆実高G]
第11回中国高校サッカー新人大会が16日に開幕。立正大淞南高(島根2)と作陽高(岡山1)との名門校対決は2-2で突入したPK戦の末、4-3で立正大淞南が競り勝った。立正大淞南は17日の準々決勝で聖光高(山口2)と戦う。
意地の勝利だった。立正大淞南は2-1で迎えた後半終了間際に作陽MF吉澤鎮浩(2年)に技ありの同点ゴールを決められてPK戦に。それでもGK豊田純平(2年)が相手の1人目と4人目を止めると、最後は3-3からMF石橋克之主将(2年)が右足シュートを決めて決着をつけた。
ただし、選手たちに喜びの色は無し。豊田は「内容が悪くてチームの状態も悪くて…勝ったのは良かったんですけれども、次に繋がるとか、インターハイに向けては良くはなかったです」とその理由を説明した。島根県大会では決勝で大社高にPK戦の末に敗れて15年度選手権予選以来に優勝を逃す結果となった。その悔しさをぶつけるために臨んだ大会の初戦だったが、不甲斐ない内容。南健司監督が「めっちゃ上手い」と評するFW伴木翔(2年)が怪我で不在という理由もあるが、それでも作陽に攻め立てられるゲームだった。
前半20分まではDFラインの低くなった作陽にプレッシャーをかけて2得点。右SB澤田琉ノ介(2年)の右アーリークロスを石橋がボレーで決めて先制し、PAへのくさびからMF松ノ下大知(2年)の落としを斜めにランニングしてきたMF三木進生(2年)が決めて2-0と突き放した。
だが、その後は立て直してきた作陽にボールを支配されて連続攻撃を受ける展開に。作陽は前半終了間際に素早いパスワークでPAまで持ち込み、相手ハンドでPKを獲得する。これをCB川上陽星主将(2年)が右足で決めて1点差。だが、酒井貴政監督が「前半のうちに追いつかなければいけなかった」と振り返ったように、畳み掛けられなかったことが響いてしまう。
作陽は後半開始直後、吉澤のラストパスから、この日推進力のある動きを連発していたFW卯野翔輝(2年)が決定的な左足シュート。その後もフリーの選手を作りながらボールを動かす作陽は、個々のテクニックを活用した攻撃で次々とゴール前までボールを持ち込んできていた。
切り替えの速さを見せる立正大淞南も後半10分頃には注目の大型司令塔・山田真夏斗(2年)の突破やMF片淵竜鳳(2年)のカットインシュートなどゴール前のシーンを作り出していた。その後は守勢の時間が続いたが、終始安定していたGK豊田を中心に集中した守り。ドリブル、コンビネーションでゴール前に潜り込んでくる相手に人数をかけて対応し、最後の局面ではMF大迫武早志(2年)や左SB楠海斗(2年)らが身体を投げ出してブロックしていた。追いつかれたものの、PK戦で信頼厚い守護神・豊田のビッグセーブ。苦しみながらも勝って試合を終えたことは大きい。
山田真夏斗は「やっぱりあの負けは忘れてはいけないですし、あれからチームが変わらないといけないと思いました。今日この1回戦で負けたら本当に自分らはヤバイという状況だったので、ギリギリ勝てたというのは良かったなと思います」と語る。
インターハイ予選では12連覇が懸かっている。それを実現するために、このままではダメだという危機感がチームの中にはある。豊田は「淞南の歴史と戦っていかないといけないので今のチーム状況では勝てないし、全国に出ても勝てないと思うので、もっと一人ひとりが自覚をもってやっていかないとインターハイには続かないと思います」。今大会は一人ひとりが成長し、「優勝すること」(山田真)が目標。より自覚を持って、努力を欠かさずに伝統を繋ぐ一年、先輩たちを越える成績を勝ち取る一年にする。
(取材・文 吉田太郎)
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