[新人戦]「一番弱い」の厳しい声、主力欠場に奮起。高川学園が初の中国大会制覇!
ゲキサカ / 2019年3月18日 20時18分
[3.18 中国高校新人大会決勝 高川学園高 1-1(PK4-2)立正大淞南高 広島スタジアム]
山口の名門、高川学園が初V! 第11回中国高校サッカー新人大会決勝が18日に広島スタジアムで行われ、高川学園高(山口1)が1-1で突入したPK戦の末、4-2で立正大淞南高(島根2)に勝利。山口県勢初優勝を果たした。
高川学園は今大会、MF野田康介(2年)やFW河野眞斗(2年)、MF菊村優介(2年)、DF山下詩音(2年)ら主軸候補の半数を欠く状況。その中で江本孝監督は「『頑張らないといけない。今、アピールしないといけないという状況だ』ということは(選手たちに)言っていました」と説明する。加えて指揮官が「今までで一番弱いです」と厳しく指摘する世代だが、その声に対する反骨心とチャンスという思いを持って大会に臨んだ選手たちが、中国タイトルを勝ち取った。
前半は2年ぶりの優勝を狙う立正大淞南ペースだった。12分にMF三木進生(2年)の右アーリークロスを注目の大型MF山田真夏斗(2年)が頭でニアサイドのゴールネットに決めて先制。その後も山田真夏の正確な配球とアタッカー陣の縦への力強さを交えて攻める立正大淞南に対し、高川学園は苦しいクリアを拾われてまた攻撃される展開だった。
だが、「ハーフタイムにみんなで話し合って、『前にどんどん行こう』と言ってラインも上げて前にサッカーできた」(MF江尻彪留、2年)という高川学園が後半に巻き返す。中盤で攻守に存在感を放つMF内田裕也主将(2年)を中心に、期待の1年生CB田中誠太郎らが健闘。左SB新山大地(1年)、右SB大澤一真(2年)の両DFも立正大淞南の強力サイドアタッカー陣に食い下がって見せる。
そして、ショートカウンターからフィニッシュに持ち込むなど反撃すると14分、中盤でこぼれ球を拾った江尻が前方のスペースへパス。これで抜け出したFW吉村広利(1年)がマイナスのクロスを入れると、PAまで詰めていた江尻が左足で同点ゴールを決めた。
後半20分以降はオープンな打ち合いとなった。立正大淞南がコンビネーションや個人技から山田真夏やMF大迫武早之(2年)、MF片淵竜鳳(2年)がシュートへ持ち込めば、高川学園も江尻のループパスからDFと入れ替わった吉村の決定的なシュートやMF内藤祐茉(2年)の右足ミドルで攻め返す。
ともに3日間で4試合目だったが、試合終盤も互いにファイトし合う好ゲームに。1-1で突入した延長戦でも互いにビッグチャンスを作り合ったが、ビッグセーブを連発した立正大淞南GK豊田純平(2年)、高川学園GK古屋潤一(1年)の両守護神の好守もあってスコアは動かず、中国決勝はPK戦決着となった。
PK戦では先攻・立正大淞南の2人目、3人目が連続で失敗。対する高川学園は1人目の吉村から江尻、内田が決め、最後は田中が右足シュートを左隅に決めて優勝を決めた。高川学園の江本監督は4試合を戦った中国新人大会について「多くの選手がピッチに出て良くも悪くも経験できた」と頷き、「ちょっとでも自信になれば」と期待。選手たちは自分たちの実力が「まだまだ」だということを理解した上で成長を誓う。
内田は「もっとチームとして強くなっていかないと全国では通用しないと思っているので、もっとチームを自分が鼓舞してレベルアップさせていきたい」と語り、「江本先生を見返せるくらいに頑張りたいです」と力を込めた。“力の無い世代”は初優勝を弾みに、成長を加速させて「強い世代」に変わる。
(取材・文 吉田太郎)
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