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「見えなくなる覚悟はできている」。東京五輪パラリンピック代表候補の複雑な胸中

ゲキサカ / 2019年4月14日 11時38分

シュートを放つ山川聖立(右)

 ブラインドサッカーのナショナルトレセン強化指定選手の山川聖立が13日、茨城県筑波技術大で行われた所属チームの練習に参加した。同大4年生の山川は1月、約4年間守ってきた日本代表強化指定選手から外れ、将来性を重視したトレセンメンバーに変更された。

 強化指定選手は原則、全盲の選手が選ばれており、視力がまだ残っている山川はその条件から外れたことも理由のひとつだが、山川自身は「実力による降格」ととらえている。6月1日に開幕するクラブチームの全日本選手権「アクサ ブレイブカップ」で猛アピールし、「昇格」の足掛かりにする。

 地道な練習の成果を発揮した。シュート練習で山川は右にドリブルで移動しながらGKの動きの逆をつき、左隅に流し込んだ。この日、山川の打ったシュートは全体的に浮き気味だったが、このゴールは技ありだった。

「(1月に強化指定から外れたときは)見た瞬間、『ああ、外されたんだ』と思いました。悔しかったんですけど、まだ見えているから仕方ないか、という思いもありました。でも応援してくれていた両親には申し訳ない気持ちでした。最近、少しでも時間があけば上半身のストレッチをするようにしています。僕はオフェンスのポジションなので、得点力が必要なんですが、クロスのシュートを打ちたいときに、以前は上半身が硬くて、思うように反転できなかった。(この日決まったシュートも)これまでだったら、ストレートの方向に行って(右に)外していたと思います」

 生まれつき、目は見えづらかったが、小学3年生のときに「網膜色素変性症」と診断された。山川の場合、視野が一般人の人と比べると約95%欠けているという。ただ、山川自身は高校入学後まで「人より目が悪い」という自覚はなく、野球部に入っていた。眼科からのドクターストップで野球を続けることを断念。その後、視覚障がい者などが学ぶ筑波技術大に入学後、「体を動かしたい」とブラインドサッカーをはじめ、8か月足らずで日本代表の強化指定選手に選ばれた。
昨年の日本代表合宿に参加した山川(左)
 五輪や大きな国際大会では全盲の選手でないと出場資格がない。そこにブラインドサッカー選手ならではのジレンマが発生する。山川が続ける。

「強化指定になったとき、両親や野球部のときの先生などはすごく応援してくれました。パラリンピックにむけて応援してくださった方の思いを考えると目が悪くなっても出たい気持ちもあるんですが、日常生活はサッカーだけではないんで……。複雑な気持ちです。僕の病気は20歳後半から視力が落ちていく、と言われています。見えなくなったら見えなくなったでその時はその時。もう覚悟は決めています。それでも、いきなり見えなくなったらどうするのかな、とか考えたりします。だから今、出かけるときに白杖を使ったりしています」

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