19年日本高校選抜、“最終決戦”はPK負けも個、チームとしての成長印象づける
ゲキサカ / 2019年4月23日 14時10分
守備面では朝岡隆蔵監督(前市立船橋高)が「今日はパーフェクトじゃないですか」と讃えた吉村が、エバートンの大型FWに対して空中戦を制圧。大石も粘り強い守備を見せるなど後方の選手たちに支えられた高校選抜は攻撃時間を増やしていた。
だが、15分に武田の左足FKがゴールのわずか右に外れ、17分に吉村のど迫力ヘッドを起点に作ったチャンスも武田の左足シュートが枠を外れてしまう。この後、ボールを握られる時間の増えた高校選抜はセカンドボールを拾うことができず我慢の展開に。そして25分ハーフゲームの22分、サイドでのクリアを中央で拾われると、巧みなシュートを決められて同点に追いつかれた。
高校選抜は直後に水野を左SB豊島基矢(青森山田高→順天堂大)へスイッチ。1-1で突入したPK戦では、武田、吉村、大石が決めたものの、2人目の染野の右足シュートが右ポストを叩いてしまう。PK戦を得意とするGK松田のセーブが期待されたが、止めることができず、3-5で敗れた。
朝岡監督は始動当初から結果だけにこだわるのではなく、将来へ向けた刺激を選手たちに与え続けてきた。「やれることをやろうじゃなくて、新たなチャレンジをして、高みを目指していく」。その言葉通り、チームは戦術を理解しながら少しずつ向上し、最後の2試合は結果こそどちらも引き分け(エバートン戦はPK戦で敗戦)だったが、中盤の構成力とバランス、SBの攻撃参加、ビルドアップ、展開力、また守備でファイトする部分や切り替えの速さ、相手の前に入ってボールを奪う部分など個人、チームとしての成長を印象づけた。
朝岡監督も「一個一個階段を上がってくる手応えを感じながらやっていた」とコメント。慣れない戦術に悩んだ選手がいたことも確か。だが、今後プロや大学、社会人のステージに上がっていく彼らは、様々な判断や戦術を求められることになる。朝岡監督は「このチームでそれを与えられたならば半分は成功。欲を言えば、決勝トーナメントへ行きたかった」と悔しげな表情を見せたが、選手たちの今後に期待を寄せていた。全国4000校、16万人の代表として“高校サッカー”で成長を続けた選手たちは、国内合宿や欧州遠征の貴重な経験を将来に繋げる。
(取材・文 吉田太郎)●【特設】高校選手権2018
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