海自鹿屋の「ミニ・サップ」がAT2発で劇的8強入り=自衛隊サッカー
ゲキサカ / 2019年4月24日 7時27分
自衛隊最強を決める戦いは、8強によるトーナメントに突入する。基地、駐屯地で活動するサッカーチームが参加する第53回全国自衛隊サッカー大会は、23日に駒沢オリンピック公園で第4日を行い、予選ラウンドが終了してベスト8が出そろった。(以下、陸上自衛隊=陸自、海上自衛隊=海自、航空自衛隊=空自と表記)
予選ラウンドは、3チームずつ8組の総当たり1回戦。第3日までに3連覇を狙うA組の海自厚木マーカス、D組の海自厚木なかよし、F組の空自百里、H組の空自第3補給処が2勝を挙げて突破を決めた。
第4日に劇的な決勝トーナメント進出を決めたのは、E組の海自鹿屋だった。同組では、過去12回の優勝を誇る海自下総が、第3日に1勝1分で試合を消化。1-1で引き分けた海自鹿屋は、4点差以上あるいは4得点以上で3点差の状況を満たせば、海自下総を上回る状況で空自小牧との最終戦に臨んだ。
前半で2-0としたが、後半は多くの得点機を決めきれず、目安4分のアディショナルタイムに突入。すると、ボランチで攻守にわたって活躍していた西将志(3曹・鹿屋工高出身)が前線に上がって猛攻を仕掛け、35+2分に得意のヘディングシュートで3点目をたたき込んだ。
そのまま終われば、決勝トーナメント進出は抽選結果に委ねられるところだったが、さらに1分後、西が最終ラインの裏へ抜け出して4点目を決め、大きく腕を広げて雄たけびをあげた。劇的な勝ち上がりを決めた西は「何本か決定機を外していて、技術のなさが出たけど、最後は気持ちで押し込んだ。4点目を取らないと意味がなかったので、本当に良かった」と笑顔を見せた。
スキンヘッドがトレードマークの西は、体格こそ大柄ではないものの、コンタクトプレーに強く、その風貌と対人戦の強さから、野獣の異名を持つ格闘家のボブ・サップになぞらえ、他チームの選手から「ミニ・サップ」と呼ばれている。走力や跳躍力に優れ、2年前の大会では、相手のミドルシュートのカバーに逆サイドから走り込み、ジャンピングボレーでクリアした場面もあった。
36歳のベテランが驚異的な運動能力を見せるのは、自衛隊サッカーらしい風景でもある。サッカーと訓練で身体を鍛え抜いた自衛官が日本一を目指して激しく戦う大会だ。西は「高校選手権じゃないけど、それと同じように毎年、この時期は熱くなれるという大会。以前より規模は縮小しているけど、強豪校やJユース出身の若い選手も出てきていて、刺激になっている。前回は、チームが急きょ不参加になって残念だった。鹿屋は11年前に優勝しているので、また良い成績を残せるように頑張りたい」と大会にかける思いを語った。
このほか、C組の空自浜松とG組の海自八戸が2連勝で予選ラウンドを突破。陸自国分は1勝1分だったが、得失点差で陸自海田市を上回り、決勝トーナメント進出となった。
26日に準々決勝、27日に準決勝が、ともに駒沢オリンピック公園で行われ、最終日の28日は、味の素フィールド西が丘で3位決定戦と決勝戦が行われる。上位3チームは、次回大会の地域予選が免除され、全国大会出場権を得る。
(取材・文 平野貴也)
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