「染野唯月くんが自分の大きな目標です」。助言得たFW超えへ、京都橘の2年生FW西野太陽が先制ヘッド
ゲキサカ / 2019年5月26日 7時56分
[5.25 インターハイ京都府予選準決勝 京都橘高 4-0 洛北高 太陽が丘球技場B]
期待の10番が、一撃で重い空気を振り払った。0-0の後半7分、京都橘高は左WB高木大輝(3年)の左足CKをファーサイドのU-17日本代表候補MF西野太陽(2年)が豪快ヘッドで先制点。前半は相手のパワーある攻守に押されていた京都橘だが、「(米澤)監督からも『耐えて、耐えて、耐え抜いて相手が絶対に落ちてくる時があるのでそこを突いていけ』と言われていた。(高木)大輝くんが良いボールを上げてくれたのでオレは触るだけでした」という2年生エースのゴールで流れを一変させた。
西野は今年、関西を代表する強豪校の10番を背負う。米澤一成監督はその意図について「彼に自覚を持ってもらいたい」と説明。それに対して西野は「10番を2年生でつけさせてもらっているということでチームを背負っている。自分がチームのために戦うということが去年はあまりできていなかったので、今年は守備から入って、チームのリズムを作って、チームのために戦うという気持ちです」と力を込めた。
180cm近い長身と柔らかいボールタッチ、鋭い抜け出し、そして振りの速いシュートが特長。この日も前線でスケール感のあるプレーを見せていた。そして普段は少ないというヘディングでゴール。エースの期待に応えるプレーをしてのけた。
3月には今秋のU-17ワールドカップへ向けて強化中のU-17日本代表候補に選出。得意の抜け出しなどでアピールした西野は合宿後も好調を維持していた。だが、代表チームのスピード感を意識するあまり、プレーが自分、自分になってしまい、プリンスリーグ関西では先発落ちも経験。指揮官からは「チームのために戦えていない、代表行って満足している」と厳しい指摘を受け、主将のMF佐藤陽太(3年)からもチームで戦うことを説かれた。
「これではダメだと思って、チームのためを思ってプレーするようになりました」という西野の変化を米澤監督は見逃さず、先発復帰。そしてチームのために走り、連係し、エースとして結果も出している。
現在、目標とする存在はU-18日本代表FW染野唯月(尚志高3年)だ。昨年度の選手権準決勝で“衝撃”のハットトリックを達成するなど、高校3年生世代を代表するストライカー。西野は昨年のU-17日本代表新潟合宿にトレーニングパートナーとして参加し、染野の武器である切り返しや考え方を学んできた。
「唯月くんもチームのためにという話が多くて、切り返しとかも唯月くんから教えてもらったりしました。身近で言ったら、染野唯月くんが自分の大きな目標です」。今年、助言を受けた染野擁する尚志と全国大会で対戦し、“恩返し”のゴールを決めるかにも注目だ。
そのためにも、まずは全国切符を必ず獲得すること。6月2日の決勝へ向けて西野は「去年、チームとしても行けなかったので、一からチャレンジャーという気持ちを忘れずに、またチーム一丸となって戦っていきたいです」と言い切った。チームのためにプレーし、エースとして仕事をすること。そして染野のような存在になって、代表入りやプロ入りのチャンスを掴む。
(取材・文 吉田太郎)●【特設】高校総体2019
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