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「限界を自分で決めるな!」。練習から"一時追放"されたロベルトの改心

ゲキサカ / 2019年6月17日 8時18分

指示を出す高田敏志監督(中央)の話を聞く佐々木ロベルト泉(背番号3)

ブラインドサッカー日本代表が16日、千葉市内で行っていた合宿を打ち上げた。19日からのトルコ遠征を控えた国内最後の練習で、日本代表・高田敏志監督が練習中、要求されたプレーができないことへの言い訳をした守備の要、佐々木ロベルト泉を一時追放。その後冷却期間を経て、再び練習に合流した佐々木は自陣からドリブルで持ち込んでゴールを決めるなど、プレーで汚名を返上した。

 入道雲が空に浮かんだ夏日。守備の戦術練習中、高田監督の怒声が響き渡った。

「ブラジルとやるんだぞ! 言い訳する奴はやらなくていい!」。

 GKをのぞいたフィールドプレーヤーの4対4で、攻撃側は晴眼者のスタッフがつとめた。容赦なくドリブルで駆け上がり、ゴールを積み重ねた晴眼者の代表スタッフに対し、佐々木は不満が募り、苛立ちを口にした。佐々木が言う。

「僕は怒っていたんじゃない。あの練習は守備のポジショニングの練習だと思うんだけど、ボールを持ったいる人がもし全盲の人だったら、両足で細かくタッチするから、健常者のドリブルのようなポ~ン、ポ~ンという音とは違う。それではボールを持っている人に対する守備の仕方が変わってしまう。前に蹴って走るプレーはブラインドサッカーにはないよ。よりいい練習をしたかったから、そのことを伝えたかっただけだよ。監督から見たら文句を言っているように見えたんでしょう。でもここでストレスをためたら、試合ではもっとストレスが溜まっちゃう。だからあの時、言っただけでもう納得している。今日はシュートもたくさん打てたし、決めることもできたからね」

 対する高田監督はこう明かした。

「彼が言っていることは正しいんですよ。でも、東京(パラリンピック)で相手にするのは、普通のフットサル選手よりうまいブラジルの選手なんです。そういうハイレベルの選手を倒さないといけないという中で、みんながそれを(不利な設定を)受け入れてやろうとしているのに『そんなの、とれないよ』と言葉にしてしまう。言い訳なんかしている場合じゃないんです。ひとりが言葉に出すとみんなに伝染してしまうし、規律が絶対なので、あえて(ピッチから)出しました。でもそれは、彼との信頼関係があるから言えること。僕はこれまで限界を作らないことを意識してきました。そのことによって、チーム結成当初はパスを3本つなぐことに苦労していたチームが、今ではパスサッカーを軸にしていますから」

 指揮官の喝により、緊張感がより増したピッチは熱いハートがぶつかり合った。佐々木が自陣から何度も攻めあがり、果敢にシュートを打っただけでなく、加藤健人が相手のシュートを至近距離で腹で受け止め、ピッチに2度もうずくまった。さらにトルコ遠征から外れた日向賢も相手選手と交錯し、額から流血した。19日に出発するトルコ遠征、その後、お互いのスケジュールが合えば、7月中旬にブラジル代表との練習試合も実現する可能性がある。世界の猛者との連戦を控え、熱いハートをむき出しにした佐々木が冷静になった。

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