「味方のミスをミスにしない」。日常を大事に、チームとして戦った韮崎が山梨突破、30回目の全国へ!

ゲキサカ / 2019年6月18日 17時25分

優勝を喜ぶ韮崎高の選手、応援団

[6.16 インターハイ山梨県予選決勝 韮崎高 0-0(PK5-4)日本航空高 中銀スタジアム]

 伝統校・韮崎が30回目の全国へ――。16日、令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」サッカー競技(沖縄)山梨県予選決勝が行われ、韮崎高と日本航空高が対戦。0-0で突入したPK戦の末、韮崎が5-4で勝ち、6年ぶり30回目の全国大会出場を決めた。

 準決勝で昨年度インターハイ日本一の山梨学院高を撃破。そして決勝では、同選手権ベスト8の日本航空に競り勝った。伝統校・韮崎が復活V。PK戦の末に勝利を決めると、選手、スタンドの人々が一体となって勝利を喜んだ。

 伝統校とは言え、韮崎は特別な個のいない公立校だ。それでも、私学勢を撃破し、関東大会予選に続く2冠を達成した彼らの強みはチーム力。主将のCB雨宮修真(3年)は「何が良いかというと、チームで戦えているという部分が一番強いと思います。試合の中で言ったら、『ミスをミスにしない』というのがあって、ズレたパスでも誰かが連動していればミスにならないというところがある」と説明する。味方のプレーがミスにならないように、集中して予測、準備して行動。それをアグレッシブに、高いレベルでやり続けた韮崎がこの日も紙一重の勝利に結びつけた。

 強風の中で行われた決勝戦。前からの攻守で先手を狙う韮崎は前半、ゲーム主将のMF佐野太亮(3年)が右足ミドルを打ち込み、右サイドでスプリントを繰り返した右SB長澤新志(3年)やFW石原稜(3年)の仕掛けからゴール前のシーンを作り出す。

 風下の日本航空は強風を考慮してDFラインを低めに設定。選手権8強入りに貢献したDF小田翔大(3年)やDF井上勇聖(3年)を怪我で欠く陣容の日本航空だったが、コンパクトな陣形を維持して入って来た相手をしっかりと封じていく。また、背後のスペースを消したことで、韮崎のロングボールはエンドラインを越えてしまっていた。

 逆に日本航空は向かい風でボールが止まることを想定してハイサイドへの配球。そして、右WB松野利玖(3年)やMF相馬翠(3年)の仕掛けから押し返す。だが、韮崎も累積警告で出場停止のCB清水悠生(3年)に代わって先発復帰した雨宮やCB内田歩(3年)を中心に味方をカバーし合って決定機を作らせない。

 前半終盤、韮崎は長澤のスピードを活かしたカウンターや、CKからMF村松壮(3年)の放ったシュートでチャンス。後半立ち上がりには佐野が中央突破からポスト直撃の右足シュートを放った。さらに9分には、大型左SB萩原大翔(2年)のインターセプト、スルーパスから準決勝のヒーロー・MF真壁龍輝(2年)が決定機を迎える。

 だが、日本航空は好カバーを連発していたDF篠原靖主将(3年)やDF能口岳斗(3年)を中心に安定。得点を許さない。その日本航空は後半10分にFW五味快渡(3年)、22分にFW小林峻平(3年)とMF望月悠汰(3年)を投入。前線の3人を入れ替えて勝負に出る。

 29分には中央突破した望月がGKと1対1となったが、韮崎GK保坂拓哉(2年)がビッグセーブ。韮崎もともに前線で奮闘した石原、FW坂本和也(3年)の2人に代えて、FW金丸立樹(3年)と長期離脱から復帰してきた昨年の10番FW名執龍一(3年)を送り出して前線の圧力を増そうとする。

 だが、スコアは動かず。0-0で突入した延長戦で日本航空は再び望月が決定機を迎え、韮崎は佐野の右足FKが枠を捉えた。それでも、日本航空GK高橋剣(3年)がファインセーブを見せるなど0-0は変わらず。延長後半終了間際に両校とも “PK戦要員”のGKを投入し、PK戦に突入した。

 PK戦は先攻・日本航空の5人目、守備の中心として奮闘した能口のキックを韮崎GK小野和真(2年)が右へ跳んでストップする。対して、真壁、佐野、名執、MF望月馨太(2年)が成功していた韮崎は5人目、萩原が冷静に右足シュートを沈めて決着をつけた。名門・韮崎の学校グラウンドにはインターハイ出場29回、選手権出場34回を示すボードが掲げられている。今回の優勝でインターハイの数字が「30」に。佐野は「本当に韮崎の全国大会に出る回数を変えようとずっと言ってやっていたので、総体(関東大会予選)優勝した時も嬉しかったんですけれども、全国大会に優勝した時は一味違って本当に嬉しいです」と誇らしげだった。

 韮崎の今村優貴監督はこのチームについて「マジメだし、人としてのまとまりがある」と分析する。今年は佐野や長澤ら成長株もいるが、個々の戦いでは山梨、県外の私学勢と戦っても敵わない。それでも、チームが味方のミスをカバーしながら塊になって戦えば、またアグレッシブに戦い抜けば、強敵にも勝つことができる。関東大会は水戸商高(茨城1)と前評判の高い日大藤沢高(神奈川1)にも勝って準優勝。次は全国で韮崎の名を轟かす。

 表彰式後、韮崎イレブンはスタジアム外で半円になって座り、今村監督からのメッセージを聞いていた。「6年ぶりに全国に出場したことは“スペシャルなこと”。“スペシャルなこと”を支えるのは(日常の)“ノーマルなこと”だと思う」。指揮官の言葉を真剣な眼差しで心に刻んでいた選手たち。雨宮は「(普段の練習に加え、)毎週金曜日の朝に学校の清掃や地域清掃をしていますし、学校の小テストでも点数を逃さないというところから本当に基礎的な部分を大事にしている」と語り、真壁は「日頃の走りや練習、ウェートトレーニング。日々やっていることが繋がっていると思う」。“ノーマル”を大事にしてきたことで出た山梨2冠という結果。さらなる“スペシャルなこと”を起こすために、韮崎の選手たちはまた日常から積み重ねる。

(取材・文 吉田太郎)●【特設】高校総体2019

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