我慢比べには負けない!“タフ”な初芝橋本、PKで得た1点で作陽を振り切る!
ゲキサカ / 2019年7月28日 5時11分
[7.27 総体2回戦 初芝橋本1-0作陽 黄金森公園陸]
1回戦では大量6ゴールで豪快に勝利した初芝橋本高(和歌山)が、2回戦では我慢強くロースコアの接戦を制した。作陽高(岡山)にもチャンスはあったが、初芝橋本のタフな運動量の前に、最後までゴールを奪うことはできなかった。
初芝橋本はサッカーをなるべくシンプルに考えようとしている。阪中義博監督は「ゲームと言うのはこういうもの。どっこいどっこいでどこで点が入るなんて、我々も選手もわからない。最後まで粘って粘って、失敗もあるけど成功もする中でゴールが決まる。今日もそう。きれいなプレーもサッカーですが、これもまたサッカーです」と語った。
試合開始から出足の速い初芝橋本が、前線からのプレスとセカンドボール回収でペースを握る。一方、作陽は丁寧つなぎを試みながらセットプレーを獲得しチャンスを窺う。
「前半のクーリングブレイクまで我慢の時間が続いたのは想定内。それでもボールをしっかり握ればペースを取れるとミーティングでも言っていました。やみくもに蹴って勝てるチームではないので、蹴るときも相手を観て判断し、相手の立ち位置に対して数的優位を作っていこうと。それができた時間帯はチャンスも作れたのですが、そこで得点を取り切れず流れもつかみきれなかった」と作陽の野村雅之監督は回想する。
どっちつかずの展開はそのまま後半へ。初芝橋本は炎天下で足が止まるかと思われたが、止まらない。すると30分、相手のクリアをブロックしたボールをFW大谷澪紅(3年)が拾うと果敢にしかける。PA内で倒されPKを獲得。これをFW名願央希(3年)がGKの逆をつきゴール右上に決める。これが決勝点となった。
「ボールをゴールに入れることだけ考えたら、とにかくボールをゴールに近づけることが最優先になる。ボールを相手のゴールに近づけ、自分たちのゴールからは遠ざける。つまり相手陣でサッカーをする。そう簡単にはいかないからいろいろ考えるんですけど、本当に勝ちたいならまずそこだけ考えればいいのではないかと」(阪中監督)
初芝橋本のサッカーは阪中監督のこの考えから逆算してプレーが決まる。相手陣でサッカーをする=前線からプレスをする。つまり、選手にはタフさが求められる。「だからうちは走れない選手は必要ないんです。タフでなければ使えない」。
作陽も左SBのDF岸本凪(3年)がオーバーラップしたりCKからも質の高いボールを供給したりとチャンスを作った。しかし後半、時間の経過とともに走力も落ち、初芝橋本のプレスをかいくぐれなくなっていった。
「相手が前から来てくれればくれるだけスペースも空くのでそこを上手く使っていく。それを後半、もっとやりたかった。運動量も落ちて判断遅くなったところ、相手にセカンドボールを拾いに来られてたので…。やりかたをもっと変えるべきだったかなと反省します」とは作陽・野村監督の弁だ。
豪快な勝利と繊細な勝利と。2つの異なる勝利のしかたを見せた初芝橋本だが、そのベースは共通している。「ボールをゴールに入れるためにどうするか」。その目的に沿ったタフさは、どんなゲーム展開にも通用する。鍛え抜かれ逞しくなった選手たちが、沖縄の地で躍動している。
(取材・文 伊藤亮)●【特設】高校総体2019
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