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逆足で一閃。ブラサカ日本代表の「守備職人」から大変身した田中のどん欲

ゲキサカ / 2019年8月27日 14時57分

田中章仁(中)がエース川村からボールをカットする瞬間

 ブラインドサッカー日本代表が10日、今月下旬のイングランド遠征(8月25日出発)に備えて、葛飾区奥戸総合スポーツセンターで合宿を開始した。午後に行われた4対4の変則方式の紅白戦で、最終ラインの位置を任された田中章仁が自陣からドリブルで駆け上がり、利き足とは逆の左足でゴール。この紅白戦で決めたのは田中のほかは、主将の川村怜のみ。主力の貫禄だった。

「守備のところで(自分が)戻り切れなくて失点してしまった場面もあったので、まずはやるべきことをしっかりやりたい。まだ目の前の課題は山積みにあるので、できることを増やしていくしかないんですが、そういう意味では、左足でゴールを決められたことは唯一、うれしいです」

 2016年のリオ五輪パラリンピック予選までは、守備専任だった。ボールを奪い、自陣からボールを蹴り出せばそれでよかった。しかし、高田敏志監督に「サッカーは頭だ、という僕の考えを体現してくれる選手」と評価されるようになると、守るだけでなく攻撃の起点としての役割も求められるようになった。

「守って終わりではなくて、そこからいかにいい攻撃につなげるかをテーマにやっています。自分のパスでサイドチェンジも自在にできるようにならないといけないので、ほぼ右足でしか蹴れなかったんですが、左足のキックをここ1年半、ずっと練習していたんです」
田中章仁は加藤健人(左)とともにクールダウンに向かう
 関係者によると、田中の場合、パラリンピック候補選手の中でもスポーツテストの数値は低い部類に入っていたというが、そのかわり、できなかったことを努力してできるようにする才能がある。「日本がこれからどんなに色々なやれるようになっても、ブラインドサッカーの場合、自分たちが進化する分、世界も進化します。だから『ここまでやれば大丈夫』というゴールはない」とこれからも努力の歩みを止めるつもりはない。

 8月下旬に向かうイングランドは、3月のワールドグランプリの準決勝で敗れ、メダルを逃す屈辱を味わった因縁の相手だ。

「最近、ここぞという試合で負けてしまっています。相手のエース(ダニエル・イングリッシュ)もデカい(195㎝)ですけど、僕だけかもしれないけどデカい選手に対して苦手意識がある。勝って、それを払拭したいですね」

 イングランドだけでなく、6月のトルコ遠征でも、決勝で敗れたトルコ代表には屈強な背の高い1人いて、その選手をわかっていながら最後まで止めきれず、優勝カップをさらわれた。攻撃も守備も組織力を大事にしている日本代表は、強烈な1人の「個」の前に涙を飲み続けている。田中は、ダニエル・イングリッシュ率いるイングランドに3月のリベンジを果たし、何にもかえがたい自信を手に入れてきたいと思っている。

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