[MOM638]立正大FW見原慧(4年)_チャレンジャーらしく
ゲキサカ / 2019年9月19日 19時28分
[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.14 関東大学L1部第12節 立正大2-1専修大 筑波大学第一サッカー場]
「疲れ知らずで走ってくれるし、守備もさぼらずボールにいってくれる。だからこそ、目の前にボールがこぼれてきた。サッカーの神様はちゃんと見ている」
立正大の杉田守監督は、先制点を挙げたFW見原慧(4年=新潟西高)のプレーをそう評し、目を細めた。専修大に押され気味だった立正大の状況を好転させたのは、後半開始早々の4分。相手DFのミスからMF半田尚之(3年=市立船橋高)がすかさずボールを拾い、それを見原が冷静に押し込んだ。
「今日は相手のGKが前に出てきているのが分かっていたので、あそこからGKのところに詰めるのは考えていました」
と、“狙いどおり”のゴールに笑顔を見せた見原だが、後期の初戦を迎えるにあたり、前期以上に「点を取ることを意識していた」という。
初の全国大会出場となった総理大臣杯で、立正大は見原のミドルシュートで記念すべき全国大会初ゴールによって初戦突破を果たしたものの、準々決勝では優勝候補の大阪体育大にPKを献上して惜敗。「押していながら1点を取れずに敗れた。あの試合で、やはりFWが点を取らないと勝てない、と痛感した」からだ。
前半はその気持ちが強すぎて、「自分で(ゴールに)行こうとしすぎて、味方を活かせていなかった。後半はもっと味方を活かせるように、と考えてプレーしていた」。続けたチームへの献身的なプレーが、杉田監督の言うとおり“サッカーの神様”の目に留まったのかもしれない。
裏への抜け出し、フィジカルの強さ、献身的な守備も見原の魅力だが、FWとして本人が意識しているのは「思い切りシュートを打つこと」。その根底にあるのは、1部初挑戦ならではのチャレンジャー精神だ。「自分たちは1部に上がったばかり。失うものは何もない」と見原。ためらわずにゴールを狙うプレーは、ときに敵や、味方さえも思わぬ結果につなげ、立正大に勝利を引き寄せている。
立正大のFWといえば、現在得点ランキングトップタイを走るFW人せ見拓哉(4年=矢板中央高)に注目されがちだが、節目で立正大に勝利をもたらしているのは、見原のゴールだ。創部以来初の関東大学1部リーグ、その開幕戦で早大に追いつくゴールを決めたのも、前述のとおり総理大臣杯の初戦で決勝点を決めたのも見原だった。
とはいえシーズン前に骨折をし、4月の開幕戦は怪我が治ってから1週間ほどで、まさにぶっつけ本番。「緊張感どころか試合勘もなかった」と本人は笑う。「オフシーズンに成長して1部に臨むつもりだったのに、怪我をしてしまい成長する期間がなかった。だからその分、1部リーグという舞台で何かを掴まなくてはいけないし、成長しないと」と新鮮な気持ちで必死に日々を過ごしている。
卒業後はサッカーを続けることを希望しているが、一方でもっと深くスポーツを知るため、筑波大の大学院を受験しようとも考えているという。常に持つのは成長への意欲。「先輩たちが1部にあげてくれたそのチャンスを、できるだけ活かしたい」と“チャレンジャー”らしく瞳を輝かせた。
(取材・文 飯嶋玲子)●第93回関東大学L特集
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