“遠距離恋愛”のチョウ・キジェ監督帯同「魔法」で引き締まった流経大「自分たちのサッカーで優勝したい」
ゲキサカ / 2021年12月15日 13時13分
[12.14 全日本大学選手権準々決勝 流通経済大 2-0 国士舘大 ギオンス]
第70回全日本大学サッカー選手権(インカレ)は14日、準々決勝を行い、相模原ギオンスタジアムでは流通経済大(関東1)が国士舘大(関東7)を2ー0で下した。流経大は昨季コーチを務め、現在は京都サンガF.C.の指揮を執るチョウ・キジェ監督が前日に合流。チョウ監督の指導を体現したチームは盤石の試合運びを見せ、2017年大会以来の4強入りを果たした。
J1内定者が7選手、来季J3に参入するいわきFC内定の3選手も含めると、流経大のJリーグ内定者は10選手にも及ぶ。しかし、優勝候補は初戦で苦戦。2回戦・新潟医療福祉大戦は延長戦の末、接戦を制して勝ち上がっていた。
立て直しを目指す中、準々決勝を翌日に控えた13日、チョウ監督がチームに合流した。チョウ監督は初戦の修正ポイントを選手たちに示し、テコ入れを敢行。試合前日、わずか10分間の指導だったが、「10分で魔法をかける才能がある」と中野雄二監督は脱帽。その手腕に導かれた関東覇者は強さを取り戻した。
指導を受けて、DF陣はラインアップの意識を強め、距離感の改善を図った。相手のゴールキック時はラインを押し上げ、コンパクトな守備陣形で構えた。「選手の距離感が20〜30mの中に全選手を集めることでバランスが良くなる」(中野監督)。選手同士が適切な距離感でプレッシャーをかけると、セカンドボールの回収で上回り、試合を支配した。
「前半からウチは選手の距離感が良くて、1本だけカウンターで危ない場面はありましたが、終始安定した形で進めることができた。2点目がちゃんと取れた。チョウさんのおかげですね。たった1日でそのポイントを学生に納得させた。10分くらいの練習だったんですが、初戦は先に失点してあれだけ苦しんだのに、これだけ落ち着いたゲームができた」(中野監督)
冷たい雨の中でキックオフした試合の主導権を握り、風上に立った前半は被シュートを0本に封じた。迎えた前半40分、PA左手前でFKを獲得。キッカーのMF菊地泰智(4年=流通経済大柏高/鳥栖内定)が左足を振り抜くと、鋭い直接FKをゴール左隅へと突き刺し、先制に成功した。
後半は国士舘大の反撃に晒されたものの、隙を見せずにしのいだ流経大。終了間際の後半45分にはFW熊澤和希(3年=流通経済大柏高)が左足シュートで2点目を挙げ、勝負あり。国士舘大とは今年3度の対戦でいずれも引き分けていたが、盤石の試合運びで決着を付けた。
昨季、コーチとして流経大を1年で関東1部に復帰させたチョウ監督は今季、京都の指揮を執った。就任1年で手腕を発揮し、12年ぶりのJ1昇格へ導く偉業を達成。その傍ら、チョウ監督とスタッフは連絡を取り合い、「距離は離れても遠距離恋愛をしているような」関係性だったという。中野監督は「プロ側がオフの期間に指導者が経験を積む、または良い意味でアマとプロが交流出来るのは選手にとってもプラス」と指摘した。
戦術指導にとどまらず、“恩師”の帯同はチームの士気を高めている。2点目を挙げた熊澤は「チームが引き締まるし、良い方向にグッと強くいける」と強調。準決勝の相手は阪南大(関西4)。熊澤は「ここまできたら優勝したい。相手がどこであれ、自分たちのサッカーをして優勝したい」と頂点を見据えた。
(取材・文 佐藤亜希子)●第70回全日本大学選手権(インカレ)特集
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