最高の仲間。最高のチーム。最高の舞台。最高の3年間。帝京大可児MF関駿太郎主将が抱え続けた感謝の念
ゲキサカ / 2022年1月1日 9時42分
[12.31 選手権2回戦 帝京大可児高 1-1(PK6-7) 桐光学園高 等々力]
「本当に楽しかったです。幸せです。ありがとうございました……」。それ以上、言葉が続かない。次から次へと仲間と過ごした日々の思い出と、こみ上げる涙があふれてくる。帝京大可児高(岐阜)のキャプテン、MF関駿太郎(3年=帝京大可児中出身)の高校サッカーは、最高の仲間たちと、最高の舞台でその幕を閉じた。
バランスの取り方は際立っていた。周囲には技巧派たちが居並ぶ。ドイスボランチのパートナーは、湘南内定のMF鈴木淳之介(3年)。右には決定力抜群のMF三品直哉(3年)、左にはスピードと突破力を完備するMF宮内俊輔(3年)と2人のレフティが構え、前線にはプリンスリーグ東海得点王のFW松永悠碁(3年)に成長著しいFW永井斗梧(2年)と、いずれも攻撃に特徴を持つ選手ばかり。その中で関の存在は、チームに1本の軸を通していた。
決して派手なドリブルやスルーパスを繰り出すわけではない。だが、ポイントで繰り出す一撃は実に効果的。桐光学園高(神奈川)と対戦したこの日も、その技術と、それを引き出す“目”の合わせ技のようなアシストを記録する。
後半21分。中盤の右サイドでルーズボールを拾った関は、前方を見据えると絶妙のフィードを送り込む。走った松永はそのままヘディングでのループにトライ。GKの頭上を破ったボールが、ゴールネットへ弾み込む。もちろんスコアラーのシュートも秀逸ではあったが、「悠碁が上手く決めてくれただけです。感謝したいです」と話した7番のピンポイントビームも、視野の広さとアイデアを実行できる技術を高レベルで結び付けた素晴らしいプレー。このチームのレギュラーを張れる実力者であることを、改めて証明してみせるスペシャルなアシストだった。
選手権予選を控えたタイミングで負傷。晴れ舞台へ仲間たちが導いてくれたという感謝の念を抱えながら、全国のピッチに立ち続けていた。この日も後半29分まで全力でピッチを駆け回り、チームメイトに後を託したが、その2分後に同点弾を食らうと、もつれ込んだPK戦の末に敗退。掲げた全国制覇の願いは、叶わなかった。
「自分はケガして、本当にチームに迷惑を掛けて、その中でチームメイトがここまで連れてきてくれて、最後はこのピッチで、みんなで楽しめて、サッカーできて、本当に幸せです」。絞り出した真摯な言葉に、仲間への想いが滲む。
オンライン会見の最後。涙の止まる気配のない関は、それでもみんなで作り上げてきた自分のチームに対して、こういう表現で胸を張った。「最後に仲井さん(仲井正剛監督)もロッカールームで言ってくれたんですけど、過去最高のチームだったということは間違いないと思います。本当に優勝するに値する最高のチームでした。最高でした。ありがとうございます」。
3度も重ねた『最高』のフレーズが、帝京大可児で過ごした時間の価値を、何よりも端的に現わしている。最高の仲間。最高のチーム。最高の舞台。最高の3年間。このグループを引っ張ってきたキャプテンに、最大限の拍手を。
(取材・文 土屋雅史)
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