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注目対決に敗れた神村学園。だが、先輩たちが築き上げてきた“伝統の連鎖”は確かに息衝き始めている

ゲキサカ / 2022年1月1日 11時58分

 チームには負けたくない理由があった。キャプテンのDF抜水昂太(3年)が選手権予選直前の練習試合で右膝前十字靭帯断裂の大ケガを負い、本大会の出場が叶わなくなった。「常に先頭に立って声を掛けたり、走ってくれたりして、チームを引っ張っていたので、自分も声掛けの部分だったり、誰よりも走るということは意識してやってきました」と話したのは、この日のキャプテンマークを巻いたMF畠中健心(3年)。左手首に巻いた赤いテーピングに、抜水の背番号でもある“7”の数字を書いていた福田も「昂太さんが笑顔になってくれる結果で終わりたいなと思っています」と語っていた。

 この日の試合のメンバーに入り、敗退の瞬間をベンチで見届けたキャプテンに対し、有村監督は感謝の念を口にする。「高校の3年間はもちろん、彼は中学校の頃から神村中に入って、この選手権を目指してきたと思うので、そういうところに参加させてあげられなかったのは非常に残念です。このチームは彼が1年間良くまとめて作ってきてくれたチームなので、最後に勝ち切ることはできなかったですけど、彼が本当に先頭に立ってよくやってくれたなと思います」。

 畠中も中学生時代から、6年間の時間を共有してきた盟友への想いを口にする。「抜水がケガでプレーできない分、自分たちが勝利という形で笑顔を届けられたらなと思っていたんですけど、それが初戦で負けてしまってできなくて、とても申し訳ない気持ちでいっぱいです」。今は悔しい想いしか感じないはずだが、きっと仲間と積み重ねた時間の大事さは、この先の未来でより実感するに違いない。

 今後の目標を問われた畠中は、“先輩”と“後輩”の名前を挙げて、自分のこれからに想いを馳せる。「自分はプロを高校3年生になってから目指していて、それは大迫と福田のいる環境で自分がそうなれたんですけど、今は川崎フロンターレにいる橘田健人選手が高3の時に自分が中1で、凄く憧れている存在でした。そういう夢が身近にある中で今年はサッカーができたので、自分としてはもっと質という部分にこだわって、いずれは日本代表に入れる選手になりたいと思っています」。

 橘田の雄姿を目にした畠中や抜水がその姿に憧れを抱き、真摯にサッカーと向き合う先輩たちに刺激を受けて、成長を続ける福田や大迫の背中を、今度は中等部の選手も含めた後輩たちが追い掛ける。



「日常の中で好きなことだけではなくて、嫌なことだったり大変なことだったりということにも向き合わせて、来年はもっと粘り強く戦いながら、ゲームをモノにできるようなチームにしていきたいと思います。今日の負けをきっかけに、もっともっとそういうところを突き詰めて、良いサッカーを見せられるようにやっていきたいと思っています」(有村監督)。

 神村学園が短くない時間を掛けて築き上げてきた“伝統の連鎖”は、鹿児島の地で着々と育まれている。

(取材・文 土屋雅史)
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