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青森山田のラストピース。大ケガから帰ってきたDF大戸太陽が日本一へと続く道を煌々と照らす

ゲキサカ / 2022年1月9日 9時53分

 だが、大戸は諦めていなかった。負傷からほどなくすると、既に視線はハッキリと2か月後を見据えていく。「ケガに対して取り組めることがあると思いますし、いち早く復帰できるように、本当に“奇跡”が起きればまだ選手権もあるかもしれないと考えているので、落ち込んでいる暇はないなという感じです」。可能性はゼロではない。1分でも、2分でも、憧れの舞台へ。選手権のピッチに立つ可能性を信じて、目の前のリハビリへと地道に立ち向かう。

 1月2日の3回戦。1月4日の準々決勝。提出されたメンバーリストの上から“13番目”には、ともに大戸の名前が書きこまれていた。もちろん長い時間の出場は望むべくもない。ただ、今年の短くないシーズンを青森山田のレギュラーとして戦い抜いてきた経験値は、必ずやチームの大きな力になる。いわゆる“温情”や“記念”ではない。計算できる“戦力”として、チームスタッフは彼をベンチメンバーに指名してきた。

 そして、準決勝。後半41分。国立競技場のタッチライン際に、2番を背負った右サイドバックが登場する。ここまで全試合にフル出場と、右サイドバックとして奮闘し続けてきた1学年下の後輩、DF中山竜之介(2年)との交代で、大戸がピッチへと駆け出していく。

「この1年間で、インターハイを優勝した時も、プレミアEASTを優勝した時も、彼の存在抜きでは無理だったと思いますし、やっぱりチームの勝利、優勝に貢献してくれた選手ですので」(黒田監督)。諦めの悪い男は、とうとう憧れのステージへ、自らの両足で辿り着いた。



 もともとは地元でもある山梨県内の高校へと進学するつもりだったが、偶然夏の遠征で、その実力を認めた正木昌宣コーチに声を掛けられ、青森山田のセレクションへ参加。そこから今へと至る高校3年間への道が開けた。

 負傷したばかりの頃。大戸はこう語っている。「自分が青森山田に来ていなくて、このケガをしていたらたぶん気持ちは落ちていたと思いますし、ろくにチームに貢献することもできなかったと思います。この青森山田というチームでやったきたからこそ、何かやってやろうと、ケガをしていても何かチームにできることはないかと思えているので、ここでサッカーができて良かったです」。

 それがタッチラインの内側であっても、あるいは外側であっても、大戸のやるべきことは何も変わらない。自分を成長させてくれた、自分を必要としてくれた、このチームの勝利のために、できることを、最大限の力で。

 青森山田が辿ってきた、日本一へと続く道を煌々と照らすラストピース。大戸太陽がとうとう仲間の待つピッチへ、帰ってきた。

(取材・文 土屋雅史)
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