青森山田など不在の東北新人戦。尚志が「ノルマ」の5年ぶりV
ゲキサカ / 2022年2月3日 23時53分
[1.31 東北高校新人選手権決勝 尚志高 1-0 東北学院高 Jヴィレッジ]
第21回東北高校新人サッカー選手権大会決勝が31日に行われ、尚志高(福島1)が5年ぶり3回目の優勝を飾った。尚志は決勝初進出の東北学院高(宮城1)と対戦。FW鈴木虎太郎(2年)の決勝点によって1-0で勝利した。
今大会は、第100回選手権優勝校で、東北新人戦4連覇中の青森山田高(青森1)など4校が出場辞退。尚志の指揮を執った梅津知巳コーチは「辞退チームもある中で、特に青森山田さんもいない中で、『優勝はノルマだよ』と(仲村浩二)監督にも言われていたので、そこを達成できて良かったです」とコメントした。
昨年末のMIZUNO wintercup U-16ルーキーリーグ(U-16全国交流大会)準優勝の1年生と、2年生が合流したのは年明けから。それぞれの良さが十分に融合できていた訳ではない。それでも、MF安斎悠人(1年)ら不在だった主力候補もいる中で優勝。仲村監督は「勝ち切るところ、尚志高校なんだ、尚志のプライドがあるんだというところは評価したい」と語っていた。
尚志は前半3分に先制点を挙げる。右エンドライン際からFW網代陽勇(1年)が上げたクロスを鈴木が頭で左隅へ押し込んだ。幸先よくリードを奪った尚志はMF岡野楽央(2年)を起点にピッチを広く活用した攻撃や正確なパスワークで追加点を狙う。
U-17日本高校選抜の右SB鈴木大翔(2年)の斜めに切れ込むドリブルもアクセントに。一方、注目の184cmFW渡邉幸汰(2年)を擁する東北学院は、MF加藤岳(2年)らが相手を見ながらパスを繋いで前進。なかなかシュートまで持ち込めなかったものの、前半35分には敵陣でインターセプトした加藤のラストパスに渡邉が反応する。
尚志は後半立ち上がり、投入されたばかりのMF吉満迅(2年)が左サイドから仕掛けて右足シュート。だが、東北学院GK桑原優治朗(2年)のファインセーブに阻まれると、直後に網代が迎えた決定機もGK桑原に止められてしまう。尚志は桑原やCB佐藤春樹(2年)、右SB鑓水新葉(2年)らが堅いディフェンスを見せる東北学院から2点目を奪うことができなかった。
だが、尚志は前線からのハードワークを継続。また、新DFリーダーのCB山田一景(2年)やGK鮎澤太陽(2年)を中心に決定打を打たせなかった。東北学院は前線の交代カードを切って攻撃を活性化していたが、球際で身体を張る部分や切り替えの速さ、技術力で相手との差を生み出して1-0で勝利。満足の行く内容ではなかったかもしれないが、梅津コーチも「まだ立ち上げて何週間かしか経っていないですけれども、その中でも要望をしていることを実践しようとする素直さがあったり、勝ちに結び付けられたのは良かったと思います」と頷く姿勢を見せ、東北王者に輝いた。
昨年はU-22日本代表CBチェイス・アンリ(3年)をはじめ、攻守に好選手を擁してプリンスリーグ東北優勝。だが、全国制覇が期待されたインターハイと選手権はいずれも無失点ながら、PK戦の末に2回戦敗退に終わっている。力がありながら悔し涙を呑んだ先輩たちの思いも胸に結果を求めて行く。
尚志の山田は「正直、自分たちの学年ってあんまり強くないと言われていたので、その中で東北新人というデカい大会を獲れて、1年間自信を持っていけるようにしたい」。昨年、全国舞台で課題となった得点力不足の改善にも着手。まず「ノルマ」を達成した新生・尚志は、コーチ陣の言葉を一生懸命に聞く耳と、それを実行しようとする姿勢も強みに努力を続け、目標の全国制覇、プレミアリーグ昇格に再挑戦する。
(取材・文 吉田太郎)
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