努力の価値を知る常勝軍団の絶対的な中心軸。青森山田MF中山竜之介のテーマは「何事も人一倍やること」

　世代最高と称されていた2人が、青森山田のボランチに課せられるハードルをとてつもなく上げてしまったことは十分感じているものの、同じことをするつもりは毛頭ない。彼らは彼ら。自分は自分。そう思える確かな強さを、中山は既に持ち合わせている。

　試合前のウォーミングアップ中も、試合に入ってからも、中山の声は誰よりもピッチ中に響き渡っていた。「自分は上手くない分、今のところはそういう部分で補うしかないので、自分たちのテーマとして『今やるべきことをやろう』という話はしていた中で、声は上手いとか下手とか関係なく誰でも出せますからね。今年は去年より力がないので、自分が経験したものをどんどん出して、去年のレベルに近付けていかないといけないので、練習から常によりプラスの方向に行ける声掛けを考えています」。今やるべきことを、全力で。その振る舞いはいつでも、どこでも変わらない。

　今シーズンの目標を問われての答えは、地に足のついた言葉に聞こえるが、よく噛み締めると隠し切れない自信が見え隠れする。

「目の前の1試合1試合を全力でやりたいです。フィジカルや走ったり、頑張ったりという面もそうですし、コミュニケーションを取ったりと、自分たちにできることを全力でやろうとみんなで話していますし、僕たちは青森山田なので勝利にもこだわって、チームの価値を上げていくことで、インターハイ優勝、プレミア優勝、選手権優勝という結果に繋がっていけばいいと思うので、まずは先を見ずに、謙虚に1試合1試合やっていけたらと思います」。

　口を衝いた『僕たちは青森山田なので』というフレーズ。その意味を誰よりも過不足なく体感している中山が、2022年の青森山田へ1本の太い軸を、努力と献身で貫いていく。

(取材・文　土屋雅史)