[MOM3796]静岡学園MF寺裏剣(3年)_ 2戦連発の新星ドリブラー。“古川2世”ではなく、“古川超え”へ
ゲキサカ / 2022年4月10日 20時36分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.10 高円宮杯プレミアリーグWEST第2節 静岡学園高 2-0 鳥栖U-18 エスプラットフジスパーク]
静岡学園高はV候補・鳥栖U-18の強度高い守備の前になかなか前進できず、エースの右SH高橋隆大(3年)も徹底マークを受けていた。右サイドへの配球経路も遮断される中、チームのストロングポイントになっていたのが、左SH寺裏剣(3年=SHIZUNAN FC出身)だ。
寺裏は「自分の武器であるドリブルとテクニックを活かしながらチームに貢献することをずっと考えていて、それが前半も、後半も行けていてめっちゃ良かったです」と振り返る。前半、サイドチェンジのボールを絶品トラップ。1プレーでテクニックを示したMFは、ボールを上手く隠しながら、飛び込んでくる相手の前に瞬時に入り込んで置き去りにしていく。体幹も強い寺裏は厳しいチェックにも怯まず勝負し、キープ力と突破力を発揮していた。
そして、カットインからのシュートや、縦へ持ち込んでのラストパスも。また、同じSHIZUNAN FC出身の左SB鈴木新(3年)と息の合った崩しも見せていた。鳥栖U-18は寺裏からボールを奪い切れなかったことも影響し、前半は静岡学園を飲み込むことができず。逆に決定機も作り出されていた。
寺裏は「オレ的にはガツガツ来てくれた方がキュって剥がせちゃうんで、自分の得意な相手やったし、あとは難しいですけれども相手めっちゃ速かったので、いつもよりも1テンポ速く抜こうという意識で抜きました」。普段よりも相手と距離を取ってトラップするなど工夫も。そして、背番号11は2試合連続ゴールでチームを勝たせた。
1-0のまま我慢の時間帯が続いて迎えた後半アディショナルタイム、静岡学園は高橋が右サイドから中央までボールを運んで横パス。これを受けた寺裏が、小さく中へ持ち出してから右足を振り抜いて左隅へ決める、寺裏は「チームが苦しい時に点が獲れたので、自分的にも、チーム的にも良かったと思います」。川口修監督から「シュートが課題。でも、点獲れば選手としての価値が2倍になるよ」と言われているという寺裏は、その言葉に応える結果。指揮官も認める2試合連続ゴールで、チームを開幕2連勝へ導いた。
「自分の中で研究されても、どんな相手でも、1対1で絶対に負けないと取り組んでいる。右サイドで高橋がめっちゃマークされていて、その分、右からの攻撃があんまなかったんですけれども、左から行けて良かったです」。小中学生時代は「ゴールないところでドリブルとリフティングをずっとやっていました。(特に中学時は)ドリブル、ドリブル……ゴールに突破しろと」。マークを外すだけではなく、「突破すること」を求めて続けてきたトレーニングの成果を強敵との大一番で発揮した。
昨年、静岡学園の左サイドで10番MF古川陽介(現磐田)が大ブレイク。同じ左サイドのドリブラーである寺裏は先輩と比較されるが、「さすがに陽介さんの二番煎じにはなりたくないので。『オレはオレやで』という感じで、もっと『古川よりも凄いんじゃないか』というくらい、『古川2世じゃなくて、古川も越える存在で』というところで毎日練習しています」。タイプの異なる古川の域まではまだまだ達していないが、1人かわした後、一気に加速して2人、3人と突破して行くドリブルは面白い。目標はプロ。ただし、先を意識しすぎることはない。目の前の一戦一戦に全力で取り組み、活躍、勝利することを第一に考えながら「突破」とゴールを続ける。
(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
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