“日本流VAR”の課題…名古屋vs湘南のオフサイド判定にJFA審判委「得点を認めても良いシーンだった」
ゲキサカ / 2022年5月2日 7時0分
日本サッカー協会(JFA)審判委員会は4月28日、メディア向けのレフェリーブリーフィングをオンラインで行い、J1リーグで導入されている2Dオフサイドラインテクノロジーについて説明した。第7節の名古屋グランパス対湘南ベルマーレ戦では、テクノロジーの運用を巡って判定ミスが起きていたという。
J1リーグでは一昨季から、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の運用が本格的にスタート。新型コロナウイルスの影響で一昨季は一時停止となったが、昨季からは全試合で導入が続いている。
VARは国際的な統一ルールに基づいて使用されるため、基本的には“先行組”の欧州リーグと同様の運用がなされている。だが、オフサイドだけは一部ローカル仕様。プレミアリーグなどでおなじみとなった立体的に位置関係を見極められる「3Dラインテクノロジー」ではなく、ピッチ上にラインを引いて接地面でのみ判断する「2Dラインテクノロジー」を使用しているため、“センチ単位”の違いを見分けるのは難しい仕様となっているのだ。
こうした理由から、Jリーグにおいては3Dオフサイドラインでないと見極められないような“センチ単位”の判断は副審の判定に従うことにし、2Dオフサイドラインによってフィールド上の審判をサポートする運用にとどめている。
したがって、VARレビューを経て判定を覆すためには「映像として決定的な証拠がなければいけない」のが原則。2Dラインテクノロジーで接地面にラインを引いた上で、①身体の傾きはどうか、②比較する選手同士の距離感はどうか、③2Dオフサイドラインテクノロジーが使える)16mカメラのアングルはどうかといった、さまざまな状況を踏まえながらジャッジを行っている。
ところが、この「決定的な証拠」というのが難しい。JFAの審判委員会によると、今季も2Dラインテクノロジーによる判定ミスが一つ起きていたという。
今月6日に行われた第7節の名古屋対湘南戦。名古屋は前半21分、MF仙頭啓矢の折り返しを受けたFWマテウス・カストロがゴールを決めたが、直前にGKランゲラックからのロングボールが出ていた時点でオフサイドがあったとして、VARの介入によりゴールが取り消しとなっていた。
ところが映像を見ると、オフサイドラインにあたる守備陣と抜け出そうとするFW酒井宣福の位置関係は微妙だといえる。
両者の距離は遠く、カメラの角度が大きいため、一見して明らかではない。また2DラインテクノロジーによってCG生成されたピッチ上のラインでは、たしかに酒井の足はオフサイドポジションにあるが、湘南の守備陣はラインコントロールのため後傾姿勢を取っており、2Dラインで判断できない上半身も考慮しないといけないからだ。
そうした場合は本来、映像で出されている場面が「決定的な証拠」にはあたらないため、ゴールを認めた副審の判定を尊重しなければならないはずだった。
JFA審判委員会は「VOR(ビデオ・オペレーション・ルーム)のなかで非常に高いプレッシャーを感じながらVARとして適切なサポートをしようとしていることは十分に理解している。“オフサイド”とした今回の判断も尊重できるが、2Dラインの原則からはフィールド上の判定をフォローできる事象であったと考える」とし、「得点を認めても良いシーンだった」という見解を示した。
(取材・文 竹内達也)★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2022シーズンJリーグ特集ページ
●DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
JFA審判委がJ1前半戦の判定データを公開…昨季に比べて精度向上傾向も「もっと突き詰めていく」
ゲキサカ / 2024年7月19日 10時45分
-
J1川崎の“幻の勝ち越し弾”が波紋「取り消しなぜ」「腑に落ちない」 VAR介入範囲はどこまで?
FOOTBALL ZONE / 2024年7月16日 6時20分
-
Jリーグで機材トラブル…VAR適用不可の異例事態 幻ゴールも決まった“空白の13分”裏側
FOOTBALL ZONE / 2024年7月12日 8時30分
-
「EURO見たらまだまだ」 Jリーグ判定で欧州と"差"指摘…VAR介入精度「悪くはない」と評価
FOOTBALL ZONE / 2024年7月11日 17時5分
-
名古屋vs浦和のVAR機材トラブルはモニター電源が原因…JFA審判委が経緯と今後の運用方針を説明
ゲキサカ / 2024年7月10日 19時56分
ランキング
-
1体操・宮田笙子問題に露メディア「厳格ルール」と仰天 蘭の〝前科者〟選手と対比も
東スポWEB / 2024年7月22日 21時0分
-
2衝撃の一発に頭抱え…“アングリ硬直”の24歳が「完全に驚嘆」 大谷特大弾の反応が話題
Full-Count / 2024年7月22日 18時3分
-
3《江川卓、1984年オールスター8連続三振》40年目の真実「あの日は肩が痛くなかった」、バッテリーを組んだ中尾が明かす「パスボールしろよ」発言
NEWSポストセブン / 2024年7月22日 11時13分
-
4日本ハム 誹謗(ひぼう)中傷の投稿に注意喚起 法的措置も視野
スポニチアネックス / 2024年7月22日 13時51分
-
5【日韓ドリーム】原辰徳監督「2回3回と続けて球界の発展に…」66歳の誕生日にWBC宿敵撃破!
スポニチアネックス / 2024年7月22日 22時13分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)