“突然の吉報”に驚き…歴史上初の男子W杯女性審判員・山下良美氏「W杯は夢のまた夢だった」
ゲキサカ / 2022年5月20日 13時55分
また共に切磋琢磨してきた女性審判員の思いも背負ってピッチに立つつもりだ。
「本当に日本でも海外でもそうだが、仲間であったり、先輩であったり、これから始めたい審判員であったり、女性審判員がいろんなところで男性の試合を担当したり、女性の試合を担当したり、信頼を積み重ねている。私は見ていただける機会が多いが、仲間達、先輩方が積み上げてきている信頼がなければW杯もない。本当にそこは信頼を壊してはいけないというか責任は重く持っている。ただ、その責任を持てることも嬉しく思っている」
一方、W杯は男子でも世界トップの選手が集まる大会。これまでの女子国際大会やアジアの男子大会と比べても、規格外のスピード、駆け引き、インテンシティに向き合う形となる。
「もちろん最高峰の戦い、最高峰の試合なので、スピード、展開力に対応しないといけないのはある。ただ、私たちが普段やっているトレーニングに変わりはない。常に向上を目指して、意地ではなく、より高いレベルをいいパフォーマンスにつながるようにトレーニングしている。そこに変わりはない」。少しでもその水準に近づくべく、質の高いトレーニングを続けていく構えだ。
前回大会で日本から選ばれた佐藤主審は第4審こそ務めたが、主審担当試合はなかった。W杯のピッチに向けてはここからがまた“狭き門”。「私自身はとにかくW杯に選ばれた以上、笛を吹くことを目指して準備することが私の責任。それに向けて日々を過ごしていきたい」。戦いはすでに始まっている。
■持ち味は「スピード」と「芯の強さ」
日本サッカー協会(JFA)の扇谷健司審判委員長も20日、報道陣のオンライン取材に応じた。
扇谷委員長によると、山下主審の強みは“スピード”と“芯の強さ”。「スピードはトレーニングで上がるものではなく、持って生まれたものもあるので魅力的。またレフェリーは自分が思ったもの、見たものを貫いてジャッジしなければならないが、芯の強さはACLを見ていても改めて感じたし、山下さんの素晴らしいところだと思っている」と太鼓判を押す。
そうした高い評価もあり、山下主審は昨年5月に女性主審として初めてJリーグデビュー。これまではJ3でのみ笛を吹いてきたが、扇谷委員長はさらに高いレベルの担当について「もちろん考えなければいけないが、シーズン初めから海外生活が多く、なかなかそこにタイミングを合わせることが難しいのも現実」とした上で「最終的にはJ1・J2をやることも前提にチャレンジをしてもらっている」とW杯に向けた準備としての割り当ても示唆した。
前回大会で叶わなかった日本人主審の担当にも期待がかかる。扇谷委員長は「笛を吹く、吹かないはいろいろあるかもしれないが、それも含めてどんな形であれ日本サッカーの大きな貢献には変わらない。そこで得た経験を持ち帰ってきていただきたい。女性審判員がもっと増えて欲しいと思ってい象徴的な存在になっているし、まずW杯行けることが誇らしい。1試合でも2試合でも笛を吹くためにさらにレベルを上げていく必要がある」と期待を寄せた。
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