“最大のアイドル”と同じ桐光学園の「9」。2年生FW宮下拓弥が関東予選・本戦通して得点重ね、自信掴む
ゲキサカ / 2022年5月31日 18時48分
[5.30 関東高校大会Aグループ決勝 桐光学園高 1-4 明秀日立高]
関東大会初優勝には届かなかったが、桐光学園高にとっては前向きな3試合となったようだ。「連戦の中での技術、連戦の中での体力、連戦の中でのゲーム感、連戦の中での交代と、同じ方向性を向くことがテーマだった」(鈴木勝大監督)。3日間とも気温27度以上。タフな3連戦で自信と課題を得て終わることができた。
決勝の前半は、DFラインからストレスなくボールをサイドへ動かしていた一方、ボールを大事にし過ぎたことでゴールへ向かう姿勢が薄くなってしまった。また4失点中3失点はミス絡みの防げたような失点。ただし、鈴木監督は「昨日、一昨日はもうちょっと長いボールと動かすことのバランスが良かった」と関東大会で評価できる面についても口にしていた。
この日は失点を重ねたが、指揮官はDFリーダーのDF豊田怜央(3年)が格の違いを見せつつあることを認める。また、今大会1回戦、準決勝で2戦連発のFW宮下拓弥(2年=JFC FUTURO出身)について「最後のところで爆発的な違いを出してきている。昨日も最後(相手選手を退場へ追いやり、)ズドンと決めてエースストライカーらしくなってきた。一皮むけました。(かつて『9』を背負ったFW小川航基=現横浜FCに)追いつき、追い越していける可能性を持っている」と期待を寄せる。
宮下はこの日、後半開始からの出場で無得点も、MF菅江陸斗(3年)の追撃ゴールを演出した。「今日は全然だったけれど、昨日までは良い波に乗れて、自分の持ち味を出せたと思います」と納得する大会に。2試合連続でゴールを挙げられたこと、相手の背後を取って味方のスペースを作り出す動きができていることへの手応えを口にしていた。
自信がついてきたのは、この関東大会予選から。同初戦(対横浜創学館高)で2ゴールをマークし、続く東海大相模高との大一番ではクロスからヘディング弾を決めた。「自分の新しい可能性を見つけられたようなゴールだったので、そこから波に乗ることができた」と宮下。以前は重荷に感じていたという「9」についても、現在は重圧を跳ね除けてプレーすることができているという。
その宮下にとって、小川は憧れの存在だ。「高校時代だったら得点という部分と圧倒的な存在感が格好良かった。入学する前から好きと言っていましたし、僕にとって“最大のアイドル”といっても過言ではないので、そこを目指して追い越していけるようにしたい」。シュートまで行き切る動きなどに自信を持つ宮下だが、まだまだその背中は遠いと感じている。
この日、鈴木監督は「準優勝は初戦敗退と一緒」と厳しく指摘していた。宮下も「小川航基さんなら、後半から出てチームを勝たせるような選手だと思う。自分はまだまだなので、もっとこだわっていきたい」と成長することを誓っていた。
そして、2週間後に予選初戦を迎えるインターハイへ向けては、「全国でどれだけできるのかチームとして挑戦したい部分があるので、インターハイでは神奈川県では圧倒的な差を見せつけて神奈川県1位で全国行って、全国で自分も個人として挑戦したい」。小川はここ10年の高校サッカーでも最高クラスのFWだ。追い付くのは簡単なことではないが、本気で努力を重ね、結果を残し続けて“最大のアイドル”に少しでも近づく。
(取材・文 吉田太郎)●【特設】高校総体2022
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