初のインハイ予選決勝は1点差で惜敗。成徳深谷は経験を糧に選手権で「歴史を塗り替えられるように」
ゲキサカ / 2022年6月21日 8時7分
[6.19 インターハイ埼玉県予選決勝 昌平高 2-1 成徳深谷高 NACK]
「このスタジアムで2回経験できたのは成徳にとって大きな経験だったな、というところと本当に悔しい試合でしたけれども、次に繋がる試合になれば」。成徳深谷高の為谷洋介監督は初めて臨んだインターハイ予選決勝を次への糧にする考えだ。
96年に共学化された成徳深谷は、武南高(埼玉)や青山学院大でDFとして活躍し、ユニバーシアード日本代表候補にも選出されている為谷監督就任15年目の18年に新人戦と関東大会予選で2冠。インターハイ出場枠が2校だった同年の準決勝で全国大会代表決定戦を経験(昌平高に0-2)しているが、この決勝戦は初めての経験だ。「勝てば全国というところは、僕の中ではあまり強く意思して言わないようにはしていました。次の試合にベストで行けるように、と思っていました」と指揮官は語る。
ただし、周囲の盛り上がりは嫌でも選手たちの耳に入って来る。この日、NACK5スタジアム大宮には2000人もの観衆が集まり、選手たちは「勝てば全国」の重圧やスタジアムの雰囲気にやや飲まれて重い入りに。「(準決勝後に)選手の中で『全国』という言葉が飛び交っていたので、『違うぞ』『まずはしっかりこの試合に臨めるように』と言っていたんですけれども、回りの期待が掛かってくるので、そこの受け入れ方の経験が足りないなと思いました」(為谷監督)。
プリンスリーグ関東1部で首位の昌平高相手にも攻守両面で対抗できる力を見せていた。だが、気持ちの面で上手く試合に入れず、連係ミスもあった前半に2失点。特に2点目がチームに重くのしかかった。
引き締め直して臨んだ後半9分にMF和光翔夢(3年)が決めて1点差。だが、GK木村航大主将(3年=浦和レッズジュニアユース出身)は「1点返したことによってより2失点目を重く感じました。自分たちの甘さもあったし、応援してくれた方々がいた中で勝てなかったのは凄く残念です」と振り返る。
前半は無失点の時間を長くして、失点は1つまでというゲームプラン。後半はチームの精神的支柱でもある木村や攻守両面で高さを発揮し続けたCB増子颯竜(3年)を中心に無失点で終え、攻撃でもセットプレーなどからシュートへ持ち込んでいたが、2点目を奪うことができなかった。
悔しい準優勝。だが、前回大会優勝の正智深谷高やプリンスリーグ関東1部の西武台高を破り、インターハイ予選では初の決勝進出を果たした。木村はチームとしての成長を実感。「S1(埼玉県1部リーグ)で難しい試合をものにできていなくて、(でも、今大会は)正智(深谷)、西武台で難しい試合をものにできて、チームとしてより一体感が生まれて、より成長できた大会だったと思います」。今回の経験で全国舞台がより身近になったようだ。
「決勝の舞台を経験できたのは昌平と自分たちだけですし、選手権に向けても自信になりましたし、全国が遠い存在ではなく、より身近なものに感じられたと思います。選手権でまた歴史を塗り替えられるように頑張りたい」
木村は個人としても「前よりは安定感や安心感を出せたと思うし、チームから信頼されるようになったと思います」と大会を通しての成長を実感。小学校中学年から別々のチームでプレーしてきた双子の兄、FW木村純大(3年)と「一緒にサッカーやりたい」という思いや「全国大会に出たい」という思いを持って成徳深谷へ進学してきた。主将は兄やチームメートとともに成長を続けて、選手権で全国初出場を勝ち取り、成徳深谷の歴史を塗り替える。
守護神として、主将として成徳深谷高を支えたGK木村航大
(取材・文 吉田太郎)●【特設】高校総体2022
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