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[関東]自身の離脱中に国士舘大はアミノ杯、総理大臣杯を優勝…布施谷翔「嬉しいけど、正直、悔しい」

ゲキサカ / 2022年10月11日 5時20分

得点を決めたMF布施谷翔(4年=駿台学園高)

[10.9 関東大学L1部第16節 国士舘大4-4順天堂大 小出義雄記念陸上競技場]

 国士舘大にとっては、不運な判定が連続した。

 まずは前半25分に反撃開始となるFW古川真人(3年=実践学園高)のゴールが決まったかと思われた場面では、直前のファウルが認められてゴール取り消し。

 さらに2度のビハインドを跳ね返して1点リードで迎えた後半アディショナルタイムには、クリアボールをGK飯田雅浩(4年=青森山田高/東京V内定)がキャッチしたプレーがバックパスと判定されて、ゴール前での間接FKを与えてしまう。これを決められたことで、4-4のドローに持ち込まれた。

 異様な雰囲気の中で吹かれた試合終了のホイッスル。「これ以上、判定に文句を言うのは止めましょう」。飯田主将が声を震わせながら、そして自らに言い聞かせるようにしてチームメイトを鼓舞する姿が、後味の悪さを際立たせた。

 この試合のヒーローとして、祝福を受けるはずだった。古川の2ゴールなどで2度のビハインドを追いついた国士舘大は後半25分、MF東條敦輝(4年=鳥取U-18)の高い位置でのパスカットから、古川がエリア内に侵入。ゴール前に折り返したボールをMF布施谷翔(4年=駿台学園高)が押し込んで、大逆転に成功していた。

 ここまでリーグ戦は14試合に出場している布施谷だが、前期リーグ戦終了と同時に、両足かかとのネズミを取る手術を決断。後期リーグに向けて万全を期すための判断だった。

 しかしリハビリに費やした夏場、チームはアミノバイタルカップを優勝すると、関東王者として出場した総理大臣杯でも23年ぶりの日本一に輝いた。「俺がいない方が勝てるじゃん」。喜びを爆発させる仲間を目の前に嬉しさはもちろんあったが、同時に湧き上がる悔しさ。「嬉しかったけど、正直、悔しい方が勝っていました」。

 東京都北区にある駿台学園高出身。在学時は都リーグ3部。中学時代までを強豪クラブのジェファFCで過ごした布施谷にとっては、決してレベルの高い環境ではなかった。それでも「みんなで楽しんでサッカーをする部活でノビノビやっていた」ことが、布施谷には一番合っていた。東京都大会で強豪校を破る波乱を演出する立役者になるなど、プレーヤーとしての知名度も上げていった。

 国士舘大へ進学したばかりのころは、「みんなの出身校をみて、めちゃめちゃビビッていた」と笑う。しかしそんな中で1年生のころからトップチームに帯同すると、2年生の終わりごろからは徐々に試合出場のチャンスも貰えるようになってきた。さらに「守備の場面でいて欲しいところにいたり、クロスの質を磨くこと」で自身のレベルアップに繋げてきた。

 卒業後はJリーグ入りを考えている。「最初のころはあまり考えなかったけど、周りが決まり始めて、自分も高いところでやれていると感じて、またやりたくなるというか、ここで辞めたら悔しい思いをすると思った。だから行けるところまで挑戦しようと思いました」。国士舘大にとしては異例だが、手術をした関係で先延ばしになっていた練習参加も予定があるという。

「楽しくやっていたら、ここまで来れたという感じ。今はきついけど、楽しい。やってきて良かったなと心から思います」

 どんな判定があろうと、どんな結果になろうと、サッカーは楽しい。これからも「楽しい」を判断基準にサッカーと向き合っていく。

(取材・文 児玉幸洋)●第96回関東大学L特集

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