総体予選敗退から生まれ変わった仙台育英が2年ぶりの全国へ!! 敗れた東北学院も「悔いはない。やり切った」:宮城
ゲキサカ / 2023年11月5日 22時26分
今年の仙台育英は、昨年まで参入していたプリンスリーグ東北から降格し、宮城県リーグ1部でプレーする苦しい1年だった。しかも6月のインターハイ予選では準々決勝で公立の多賀城高に1-2で敗れ、まさかのベスト8敗退。この敗退を機に、チームは大きく変わることとなった。「キャプテンだったMF小坂城太郎(3年)からキャプテンを降りたいという希望を受けて、MF菅原颯太(3年)にキャプテンを代えました。菅原は言葉で引っ張って行けたのでキャプテンが向いていました。小坂もその後はのびのび楽しんでプレーできるようになりました」とインターハイ予選後のキャプテン交代について城福敬監督は明かした。
そして、伊藤と菊地の長身2トップのパワーをシンプルに使う形に変えたところ、チームはうまく回り始めた。「8月の青森ユースフェスティバルで青森山田高のAチームに勝って優勝して、10月半ばの尚志高のAチームとの練習試合でも勝てました。自信になって、そういう強いチームとやっても負けない、苦しい試合も乗り切れるんだ、という雰囲気になりました」と城福監督が語る通り、プレミアリーグで優勝争いをする強豪2チームに勝利したことで、チームは大きく生まれ変わった。「自分たちがどうやったら勝てるかを確認できました」とキャプテン菅原も語る。
かくして準決勝ではライバル聖和学園高に先制されながら小坂と菊地のゴールで逆転勝利。決勝戦もなかなか追加点が奪えない展開にも決して焦れなかった。「MF島野怜(現・明治大)がいた、2年前のタレント豊富だったチームよりも、チーム自体は成熟していて、チーム内で何をすれば良いのか変えていくことができて、選手の平均値が高いです」。飛び抜けたタレントはいないが、個々の平均レベルが高く、この日は小坂を控えに回すなど選手層が厚いことにも城福監督は自信を見せる。「自分たちの特長を生かして、課題だった失点を無くして、失点0で勝ちきりたいですね」とキャプテン菅原も選手権の舞台に向けて意気込みを語る。昨年インターハイも選手権も全国大会出場を逃し、プリンスリーグ東北からも降格したが、ここ2年あまりの苦しみをようやく乗り越えた仙台育英が、全国の舞台でどこまで戦えるか注目だ。
一方の東北学院だが、試合が終了し、閉会式を終えた後、スタンドの応援団の前で集合写真撮影を行い、笑顔を見せた選手が多かった。悔しさを抱えた準優勝チームがこうしたことを行うのは異例だが、「悔いは無いですし、出し切りました。全員やることを全部やりましたし、これが3年間の成果です。全員前を向いていました」とキャプテン齋藤が言った通り、やりきった清々しさを感じた選手が多かったようだ。
齋藤はゴールへの嗅覚に優れたストライカーとして非凡な才能を見せ、プリンスリーグ東北やインターハイ金光大阪戦でもゴールを挙げて活躍したが、今後については「サッカーをやりたい思いはありますが、勉強が忙しくなるのは見えているので、サッカーはできれば携わりたいと思っています」と語る。今月、理系の難関大学受験を控えた齋藤は、新たな夢に向かおうとしている。東北学院の選手たちは全てを出し切り、3年生はそれぞれの道へ、1~2年生は全国の舞台に向けて、再び走り出す。
(取材・文 小林健志)●第102回全国高校サッカー選手権特集
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