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まだまだ伸びる“これからの静学”。主力不在で苦しむも、成長続けた静岡学園が2年ぶりの静岡制覇

ゲキサカ / 2023年11月12日 8時46分

 後半、静岡学園はボールを引き出す回数の増えた高田や田嶋、右SB野田裕人(2年)のドリブルでゴール前のシーンを作り出す。藤枝東DFは寄せ切れないシーンもあったが、GK藤崎蒼葉(3年)のファインセーブやゴール前での粘り強い守備で相手の連続攻撃を凌ぐ。そして、速攻を狙うと18分、湯山の右クロスから江口が決定的なヘッド。だが、ボールはクロスバーを叩いた。

 静岡学園は相手の大型FW植野に対し、CB水野朔(3年)が健闘。CB井口晴斗(3年)のカバーリング、森崎のセカンドボール回収など勝負どころで崩れない。中村は試合前から「ここまで来たら気持ちだから」とチームメートに強調していたのだという。3日前、プレミアリーグWESTの延期試合(アウェー)でサブ組が横浜FCユース相手に気持ちの込もった好勝負。中村は「横浜FCの試合を見て(刺激を受けて)、今日出た選手も熱量を持ってやっていた」。テクニックと勝利への執念が次の1点をもたらした。

 後半26分、静岡学園は敵陣で高田から中央の庄へパス。庄がドリブルからPAへスルーパスを通すと、宮嵜が切り返しでマークを外し、右足シュートを右隅へ流し込んだ。後半、互いにチャンスがあった中で、決め切った静岡学園。藤枝東の鷲巣監督も「ああいう1本をしたたかに決めてくるチームだと全国に行くんだろうなと。したたかさがウチには(まだ)足りないというところです」と認めていた。

 この後、大村を中盤に投入して高さを加えた静岡学園に対し、藤枝東は中盤の攻防で負けず、サイドからゴールへ迫る。だが、プレスバック、両SBのクロスへの的確な対応など相手の堅い守備をこじ開けることができないまま試合終了。静岡学園が紙一重の差の勝負を制し、全国切符を獲得した。

「手応えはまだ。でも、だいぶレベルアップしてきた。まだまだこのチームは伸びるし、けが人が帰ってくればまだパワーアップしていく。これからですね、この静学は」。激戦区・静岡を制した静岡学園の川口監督は、今年のチームのこれからに期待を寄せた。

 今大会は川崎F内定のU-18日本代表FW神田奏真(3年)と静岡県選抜の大型MF福地瑠伊(3年)がいずれも長期離脱中のために不在。同じく2か月間離脱していた守りの要、CB大村も決勝戦で6分間出場しただけに留まった。今大会開幕前は結果が出ずに苦しい時期が続いたが、出場機会を得た選手たちが経験を重ねながら成長。この日はいずれもBチームから這い上がってきた庄と宮嵜がゴールを決め、チームを静岡制覇へ導いた。神田は全国大会に間に合う予定。下級生や復帰組を含めた競争を経て、チームはより強くなって全国大会を迎えそうだ。

 プレミアリーグWEST前期を8勝2分1敗で終えていたこともあり、インターハイは優勝候補の一角に挙げられていた。だが、初戦で優勝校・明秀日立高(茨城)に1-2で敗戦。先を見すぎたことが敗因と考えたチームは、「一戦一戦、その瞬間に100パーセント出すこと」(中村)にこだわってきた。そして、今大会は一戦集中でライバルたちを上回って夏冬連覇。ただし、この日は静学らしさを出せなかった部分もあっただけに、森崎は「(全国大会では)自分たちで学園らしく主導権を握って、それに最後結果がついてきて、最後良い形で終われたらいい」と力を込める。より静学らしいサッカーができるように、貪欲にレベルアップして、全国で勝つ。 

(取材・文 吉田太郎)
●第102回全国高校サッカー選手権特集

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